著者
横田 誠 久保 浩二 末田 武
出版者
JAPANESE SOCIETY OF PERIODONTOLOGY
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.930-940, 1989
被引用文献数
10 3

この研究は初期治療後に歯種や部位によって歯周ポケットの減少度に差があるかどうかを研究することである。被験者は中等度ないし重症の成人性歯周炎に罹患していた41名, 平均年齢40.8歳である。被験者はいずれも初期治療中を通じてオーレアリーのプラークレコードが10%以下を維持 (平均9.02±4.93%) していた患者である。5,938歯面のポケットが用いられ, ポケットの深さを測定し記録した。得られた結果は, (1) 初期治療後, 有意なポケットの減少が生じた (p<0.001) 。 (2) 初期治療によって浅い残存ポケットを示したのは4 2 1 1 2 4, 5 5, 5 3 3 5, 3 2 2 3である。また, 深い残存ポケットは1 1, 6 6, 7 7, 6 6, 7 7, 2 2, 3 3に観察された。 (3) 歯種による治療に対する反応性は5 4 4 5, 4 3 1 1 3 4で良好であり, 7 1 1 7, 7 7では不良であった。 (4) 部位による残存ポケットをみると舌口蓋側中央面が有意に浅く, 頬側中央が特に著明であった。深いポケットを示したのは隣接面である。 (5) 部位における治療に対する反応性をみると特にポケット減少性が悪いのは6 6近心口蓋面と口蓋側中央面, 7 7, 7 7の遠心舌口蓋面, それに1 1の近心口蓋面である。ポケット減少性が良いのは4 4の口蓋側中央面, 5 5, の頬側近遠心面, 4 4の近心舌側面である。<BR>以上の結果は歯周治療中に我々が注意しなければならない歯種や部位を明確にした。

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