著者
山本 昇 長谷川 紘司 末田 武 木下 四郎
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.258-264, 1975-09-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
13
被引用文献数
4 1

This study was carried out to compare the effects in open interproximal areas on the plaque-removing ability of 1) toothbrushing plus the use of the interdental brush (Denticator Co.), and 2) toothbrushing plus the unwaxed dental floss (Gudebrod Bros. Silk Co.). Ten adults, without prosthetic restorations within or adjacent to the test areas and abnormal arrangement of the teeth, were devided into two groups.The participants performed either interdental cleaning procedure alternately at one week interval. The test teeth were consisting of first molars, lateral incisors and were in contact normally with neighbouring teeth and had open interdental spaces. The bucco-menial surfaces of the test teeth were estimated.The toothbrushing alone by modified Stillman's method removed 58% of interproximal plaque deposited at test areas, however notciable reduction of dental plaque were achieved by additional use of interdental cleaning devices (interdental brush 95%, dental floss 86%). There was no statistically significant difference between two.It has been concluded that it is difficult to clean the interproximal areas only using the toothbrush, and that the use of interdental brusn is effective for the interdental cleaning in open interproximal areas.
著者
横田 誠 久保 浩二 末田 武
出版者
JAPANESE SOCIETY OF PERIODONTOLOGY
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.930-940, 1989
被引用文献数
10 3

この研究は初期治療後に歯種や部位によって歯周ポケットの減少度に差があるかどうかを研究することである。被験者は中等度ないし重症の成人性歯周炎に罹患していた41名, 平均年齢40.8歳である。被験者はいずれも初期治療中を通じてオーレアリーのプラークレコードが10%以下を維持 (平均9.02±4.93%) していた患者である。5,938歯面のポケットが用いられ, ポケットの深さを測定し記録した。得られた結果は, (1) 初期治療後, 有意なポケットの減少が生じた (p<0.001) 。 (2) 初期治療によって浅い残存ポケットを示したのは4 2 1 1 2 4, 5 5, 5 3 3 5, 3 2 2 3である。また, 深い残存ポケットは1 1, 6 6, 7 7, 6 6, 7 7, 2 2, 3 3に観察された。 (3) 歯種による治療に対する反応性は5 4 4 5, 4 3 1 1 3 4で良好であり, 7 1 1 7, 7 7では不良であった。 (4) 部位による残存ポケットをみると舌口蓋側中央面が有意に浅く, 頬側中央が特に著明であった。深いポケットを示したのは隣接面である。 (5) 部位における治療に対する反応性をみると特にポケット減少性が悪いのは6 6近心口蓋面と口蓋側中央面, 7 7, 7 7の遠心舌口蓋面, それに1 1の近心口蓋面である。ポケット減少性が良いのは4 4の口蓋側中央面, 5 5, の頬側近遠心面, 4 4の近心舌側面である。<BR>以上の結果は歯周治療中に我々が注意しなければならない歯種や部位を明確にした。
著者
末田 武 星野 二郎 山村 准男
出版者
JAPANESE SOCIETY OF PERIODONTOLOGY
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.152-160, 2004-06-28
被引用文献数
9 3

エムドゲイン<sup>®</sup>の輸入販売元である生化学工業株式会社がわが国の再審査制度に基づき, エムドゲイン<sup>®</sup>の市販後の日常診療における安全性および有効性を確認する目的で, 3年間にわたり市販後使用成績調査を実施した結果をまとめた。<br>歯科大学および歯学部の附属病院を含む全国171施設で行った956症例を対象に解析した。調査をエムドゲイン<sup>®</sup>を使用した手術の術前と術後8カ月目に行い, 有害事象の有無, 歯周ポケットの深さの増減, プロービング時の出血の改善, 歯の動揺の改善, クリニカルアタッチメントレベルの増減, 骨欠損の改善, 根分岐部病変の改善, 総合改善度について評価した。<br>エムドゲイン<sup>®</sup>に起因する副作用は報告されなかった。術後8カ月の時点で歯周ポケットの深さの減少 (約4mm), プロービング時の出血の減小, 歯の動揺の改善, クリニカルアタッチメントレベルのゲイン, 骨欠損の改善, 根分岐部病変の改善, 総合改善度の改善が認められた。<br>エムドゲイン<sup>®</sup>は歯周組織再生に対して安全で有用な医療材料であることが確認できた。
著者
牧野 文子 瀬戸口 尚志 和泉 雄一 末田 武
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.233-239, 1998-06-28
被引用文献数
1

歯周疾患患者において歯ブラシの植毛部の形態の違いが隣接面部のプラーク除去効果に及ぼす影響を調べるため,2種類の歯ブラシ(ストレートカット歯ブラシ,山切りカット歯ブラシ)を試作し検討した。成人性歯周炎と診断され歯周治療を終了した,メインテナンス中の患者34名(男性8名,女性26名)を被験者とし,山切りカット歯ブラシ群,ストレートカット歯ブラシ群,ストレートカット歯ブラシと歯間ブラシ併用群の3群に分け,各ブラシを3週間使用させた。ブラッシング法や回数などは特に規定しなかった。プラーク付着量を実験開始時から1週毎に3週調べた。また,実験開始時および終了時にProbing Depth, Gingival Index, Bleeding on Probingを測定した。その結果,山切りカット歯ブラシは,ストレートカット歯ブラシに比べて,有意に隣接面のプラーク除去に対して効果的であったが,歯間ブラシ併用程の効果はなかった。また,この山切りカット歯ブラシは歯間空隙の大きな部位に比べ,小さな部位において効果が高かった。
著者
和泉 雄一 笠毛 甲太郎 平岡 孝志 谷口 拓郎 濱田 義三 末田 武
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.658-666, 1995-12-28
参考文献数
45
被引用文献数
2 1

歯周病関連細菌のひとつであるPorphyromonas gingivalis (P.g)のextracellular vesicles (ECV)が,好中球の各種機能を発現させるために必要な基本的因子である細胞形質膜流動性に与える影響を検討した。P.g ATCC 33277から硫安塩析法にてECVを調製し,透過型電子顕微鏡観察,電気泳動,および化学組成分析を行うことによってECVが分離,調製されたことを確認した。好中球は全身的に健康でかつ歯周疾患の認められない成人の末梢血から分離した。調製されたECVを各種濃度(0, 10, 50, 100μg/ml)で好中球た作用させた後,5-あるいは16-stearic acidラベル剤(5-SAL, 16-SAL)を好中球に取り込ませ,電子スピン共鳴装置を用いたスピンラベル法にて膜流動性の測定とcytochrome C還元法による活性酸素産生量の測定を行った。その結果,好中球形質膜表層(5-SAL)で膜流動性を有意(p<0.01)に低下させた。しかし,ECVは各濃度において形質膜深層(16-SAL)では膜流動性に有意な影響を及ぼさなかった。さらに,ECV (100μg/ml)はN-formyl-methionyl-leucyl-phenylalanine, phorbol myristate acetate刺激下で好中球の活性酸素産生を有意(p<0.01, p<0.05)に抑制した。以上のことから,歯肉溝あるいは歯周ポケットや歯肉組織中に遊走した好中球は歯周病関連細菌由来ECVによって影響を受け,膜流動性および細胞機能が低下する可能性が示唆された。