著者
民上 良徳
出版者
JAPANESE SOCIETY OF PERIODONTOLOGY
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.9-43, 1983

歯周治療にとって破壊された歯周組織の改善, とくに吸収された歯槽骨の再生を促すことはポケットの処置とともに非常に重要なことであり, それを移植法にゆだねる試みがなされている。そこで私は経済的で, 滅菌, 保存が容易であり, 操作が簡単な移植材料として, plaster of paris に着目し, 成犬下顎歯槽骨中に実験的に骨欠損窩洞を形成し, 凝結反応が完了して物理化学的に安定した plaster of paris を disk 型に規格して implant を行い, いかなる経過をたどるかをエックス線規格撮影装置を考案作製してエックス線写真による検索を行ない経週的に追跡した。同時に撮影装置の再現性の検討や, 同一生体内歯槽骨中での実験側, 対照側のエックス線写真分析さらに病理組織学的検索を行ったところ組織偽害作用を示すこともなく, その有用性が明らかとなった。
著者
鈴木 丈一郎 中島 啓介 國松 和司 高柴 正悟 原 宜興 和泉 雄一 横田 誠 鴨井 久一 小田 茂 福田 光男 川浪 雅光 野口 俊英
出版者
JAPANESE SOCIETY OF PERIODONTOLOGY
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.162-174, 2007-06-28
被引用文献数
4 3

臨床歯学では,知識だけでなく技能および患者対応を含めた総合的な習得が求められている。そこで今回,今後の歯周病学実習の内容を検討するために各大学の歯周病学実習で行っているOSCEや臨床実地試験問題の実態を把握することを目的とし,全国29歯学部・歯科大学から,臨床前の歯周病学の臨床基礎実習内容と実習運営の現状に関してアンケート調査を行った。調査対象者は,歯周病学を担当する日本歯周病学会理事29名で,歯周病学実習の実態把握のための無記名式の質問票を,平成15年12月に郵送し,平成16年3月10日までに回収を行った。その結果,29校のうち,4年次に実習を開始するところが最も多く,次いで5年次に開始していた。実習の回数は,2回~23回まで幅広い分布を示していた。また,1回の実習時間は,90分から360分の間に分布しており,総実習時間の平均は34.5時間であった。実習の内容としては,過半数の大学が実施しているのは,歯周診査,ペリオチャート・レントゲン診断,ブラッシング指導,スケーリング,歯周外科,咬合調整,暫間固定であった。OSCE形式の課題としては,ブラッシング指導が最も多く,次いで,スケーリング・ルートプレーニングであった。最近の傾向としては,歯周病の病状説明かブラッシング指導に重点が置かれている。OSCEにおける歯周病学の課題は,今後の歯周病学教育の方向性を示すものであり,非常に重要性が高いと考えられる。
出版者
JAPANESE SOCIETY OF PERIODONTOLOGY
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.319-322, 2001
被引用文献数
1

1. 歯肉疾患<BR>A. プラーク起因性歯肉疾患<BR>1. プラーク単独性歯肉炎<BR>a. その他の局所因子を含まない<BR>b. その他の局所因子を含む (皿A参照)<BR>2. 全身因子関連歯肉疾患<BR>a. 内分泌関連<BR>1) 思春期性歯肉炎<BR>2) 月経性歯肉炎<BR>3) 妊娠性<BR>a) 歯肉炎<BR>b) 化膿性肉芽腫<BR>4) 糖尿病性歯肉炎<BR>b. 血液疾患関連<BR>1) 白血病性歯肉炎<BR>2) その他<BR>3. 薬物関連歯肉疾患<BR>a. 薬物性歯肉疾患<BR>1) 薬物性歯肉肥大<BR>2) 薬物性歯肉炎<BR>a) 経口避妊薬性歯肉炎<BR>b) その他<BR>4. 栄養障害関連歯肉病変<BR>a. アスコルビン酸欠乏性歯肉炎<BR>b. その他<BR>B. 非プラーク起因性歯肉疾患<BR>1. 上異細菌性歯肉疾患<BR>a. <I>Neisseria gonorrhea</I>関連病変<BR>b. <I>Treponema pallidum</I>関連病変<BR>c. 連鎖球菌関連病変<BR>d. その他<BR>2. ウイルス性歯肉疾患<BR>a. ヘルペスウイルス感染<BR>1) 原発性ヘルペス性歯肉口内炎<BR>2) 再発性口腔ヘルペス<BR>3) 水痘・帯状疱疹感染<BR>b. その他<BR>3. 真菌由来歯肉疾患<BR>a. ヵンジダ感染<BR>1) 広汎型歯肉ヵンジダ症<BR>b. 線状歯肉紅斑<BR>c. ヒストプラスマ症<BR>d. その他<BR>4. 遺伝性歯肉病変<BR>a. 遺伝性歯肉線維腫症<BR>b. その他<BR>5. 全身状態による歯肉徴候<BR>a. 粘膜皮膚病変<BR>1) 扁平苔癬<BR>2) 類天疸瘡<BR>3) 尋常性, 天疱瘡<BR>4) 多形性紅斑<BR>5) エリテマトーデス (紅斑性狼瘡)<BR>6) 薬物性<BR>7) その他<BR>b. アレルギー反応<BR>1) 歯科用修復物<BR>a) 水銀<BR>b) ニッケル<BR>c) アクリル<BR>d) その他<BR>2) 歯磨剤などへの反応<BR>a) 歯磨剤<BR>b) 含漱剤/洗口剤<BR>c) チュこインガム添加物<BR>d) 食品および添加物<BR>3) その他<BR>6. 外傷性病変 (人為的, 医原的, 偶発的)<BR>a. 化学的傷害<BR>b. 物理的傷害<BR>c. 温度的傷害<BR>7. 異物反応<BR>8. 原因不上定 (NOS: Not otherwise specified)<BR>II. 慢性歯周炎<BR>A. 限局性<BR>B. 広汎性
著者
横田 誠 久保 浩二 末田 武
出版者
JAPANESE SOCIETY OF PERIODONTOLOGY
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.930-940, 1989
被引用文献数
10 3

この研究は初期治療後に歯種や部位によって歯周ポケットの減少度に差があるかどうかを研究することである。被験者は中等度ないし重症の成人性歯周炎に罹患していた41名, 平均年齢40.8歳である。被験者はいずれも初期治療中を通じてオーレアリーのプラークレコードが10%以下を維持 (平均9.02±4.93%) していた患者である。5,938歯面のポケットが用いられ, ポケットの深さを測定し記録した。得られた結果は, (1) 初期治療後, 有意なポケットの減少が生じた (p<0.001) 。 (2) 初期治療によって浅い残存ポケットを示したのは4 2 1 1 2 4, 5 5, 5 3 3 5, 3 2 2 3である。また, 深い残存ポケットは1 1, 6 6, 7 7, 6 6, 7 7, 2 2, 3 3に観察された。 (3) 歯種による治療に対する反応性は5 4 4 5, 4 3 1 1 3 4で良好であり, 7 1 1 7, 7 7では不良であった。 (4) 部位による残存ポケットをみると舌口蓋側中央面が有意に浅く, 頬側中央が特に著明であった。深いポケットを示したのは隣接面である。 (5) 部位における治療に対する反応性をみると特にポケット減少性が悪いのは6 6近心口蓋面と口蓋側中央面, 7 7, 7 7の遠心舌口蓋面, それに1 1の近心口蓋面である。ポケット減少性が良いのは4 4の口蓋側中央面, 5 5, の頬側近遠心面, 4 4の近心舌側面である。<BR>以上の結果は歯周治療中に我々が注意しなければならない歯種や部位を明確にした。
著者
林 成忠 木村 喜保 呉 啓変 米良 豊常 西原 達次 野口 俊英 木下 四郎 加藤 一男
出版者
JAPANESE SOCIETY OF PERIODONTOLOGY
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.919-935, 1983
被引用文献数
7 1

アパタイト (Hydroxyapatite Ceramic) を歯周治療に応用する可能性を調べるために, 外科的に形成したサルの3壁性歯槽骨欠損に, 粒子 (1) 600μ以上 (2) 100-400μ (3) 10μ3種類の大きさのアパタイトをそれぞれ移植し, 臨床的ならびに組織学的に観察した。その結果, (1) 臨床的には, 異常な炎症は認められなかった。また, 規格X線写真によると, アパタイトは殆ど骨欠損にとどまっており, 排出される徴候が認められなかった。(2) 組織学的には, 粒子600μ以上および粒子100-400μのアパタイトを移植した部位では, 一部アパタイトは直接に新生骨に接している像が観察された。これはアパタイトの骨親和性が高い事を証明している。以上より, アパタイトは歯槽骨欠損部の人工移植材として, 使用しうる材料であると思われる。
著者
末田 武 星野 二郎 山村 准男
出版者
JAPANESE SOCIETY OF PERIODONTOLOGY
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.152-160, 2004-06-28
被引用文献数
9 3

エムドゲイン<sup>®</sup>の輸入販売元である生化学工業株式会社がわが国の再審査制度に基づき, エムドゲイン<sup>®</sup>の市販後の日常診療における安全性および有効性を確認する目的で, 3年間にわたり市販後使用成績調査を実施した結果をまとめた。<br>歯科大学および歯学部の附属病院を含む全国171施設で行った956症例を対象に解析した。調査をエムドゲイン<sup>®</sup>を使用した手術の術前と術後8カ月目に行い, 有害事象の有無, 歯周ポケットの深さの増減, プロービング時の出血の改善, 歯の動揺の改善, クリニカルアタッチメントレベルの増減, 骨欠損の改善, 根分岐部病変の改善, 総合改善度について評価した。<br>エムドゲイン<sup>®</sup>に起因する副作用は報告されなかった。術後8カ月の時点で歯周ポケットの深さの減少 (約4mm), プロービング時の出血の減小, 歯の動揺の改善, クリニカルアタッチメントレベルのゲイン, 骨欠損の改善, 根分岐部病変の改善, 総合改善度の改善が認められた。<br>エムドゲイン<sup>®</sup>は歯周組織再生に対して安全で有用な医療材料であることが確認できた。