著者
木村 高宏
出版者
Japanese Association of Electoral Studies
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.125-136,257, 2003

本稿では不満な有権者の棄権を,ハーシュマン(Hirschman, Albert O.)の提示した「退出」であると考える。この理論枠組みを敷衍して,不満な者の投票参加がいくつかの要因によって影響を受けるという仮説を検証する。<br>本稿の分析を通じて,不満であっても何らかの政治課題を重要だと考えれば投票し,あるいは,社会をよくするために何かができると考えれば投票する,という有権者の存在を示すことができた。このことは,有権者自身の態度形成を問題にしており,政策距離を中心に考える期待効用差からの研究に対して,有権者の政治を理解する能力が十分に成熟していない場合にも採用可能であるという利点があるだろう。また,分析において,政治的疎外感を示す質問と,「社会をよくする」というような有力感に関する質問とが,質的に異なることを示すことができた。

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日本人の棄権は満足ではなく不満で棄権する「退出的棄権」が多い/不満で棄権→不満が選挙を通して反映されない→政権の固定化へ/「自分が貢献できる可能性」という感覚が退出的棄権を思いとどまらせる場合がある

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