- 著者
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布川 日佐史
- 出版者
- Japan Society of Family Sociology
- 雑誌
- 家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, no.2, pp.37-46, 2007
- 被引用文献数
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現代日本においてワーキングプアという言葉が一般化し, 貧困の広がりが注目を浴びるようになってきた。貧困の判定基準は生活保護給付額であり, それがあってはならない状態である貧困の境界線を確定している。また, 生活保護が最後のセーフティネットとして貧困をなくす役割を負っている。生活保護制度は, 2005年より, 自立生活の基盤を失い社会生活に参加ができない社会的排除状態にある生活困窮者に対し, 日常生活・社会生活・就労自立のための体系的支援 (生活保護における自立支援プログラム) を始めた。本稿は, 雇用形態と家族形態の変容を前にして, 最低生活保障としての生活保護制度が, 所得・消費・資産のミニマム保障はもとより, 自立の基盤作りのための対人援助サービスを保障できるものにしなければならないとの問題提起をしたものである。