- 著者
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安達 智子
- 出版者
- 日本グループ・ダイナミックス学会
- 雑誌
- 実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.1, pp.45-51, 2001
- 被引用文献数
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4
大学生230名を対象として, 就業動機尺度の概念的妥当性について検討を試みた。測定変数は (1) 就業動機, (2) 達成動機, (3) 勢力動機, (4) 親和動機, (5) 自己効力感, (6) 仕事活動に対する自己効力感である。就業動機と達成動機, 勢力動機, 親和動機間の相関係数を男女別に算出したところ, 男女ともに達成動機の下位尺度である個人的達成欲求, 社会的達成欲求と就業動機の間に関係性がみとめられた。一方, 勢力動機, 親和動機との関係からは, 就業動機下位尺度の特性に男女による質的差異が示された。就業動機を従属変数, 自己効力感, 仕事活動に対する自己効力感を独立変数とする階層的重回帰分析を行ったところ, いずれの回帰式においても自己効力感の影響を統制した後に, 仕事活動に対する自己効力感が独自の説明力を有していた。また, 特定の仕事活動に対する効力感が当該の就業動機に有意な回帰をみせており, 就業動機の下位側面の特性が明確化された。