- 著者
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近藤 博之
- 出版者
- Japanese Association For Mathematical Sociology
- 雑誌
- 理論と方法 (ISSN:09131442)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.1, pp.161-177, 2011
本稿では,ブルデューが『ディスタンクシオン』において行った社会空間分析を日本のデータに対して適用し,とくに社会空間の「交差配列」構造と日常的活動および意識空間との「相同性」に焦点を当てて,ブルデューのモデルの妥当性を吟味した.多重対応分析(MCA)による検討の結果,社会空間の構造についても,日常的活動および意識空間との相同性についても,「資本総量」の分化軸は明瞭なものの,「資本構成」のタイプによる差異はそれほど明瞭でないことが明らかとなった.これらの分析を通して,日本の社会空間の特徴とともに階層研究における社会空間アプローチの有効性が示された.