著者
浅野 昭祐 兵藤 宗吉
出版者
The Japanese Society for Cognitive Psychology
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.95-104, 2012

Hamilton & Geraci (2006) は,画像が持つ意味的な特徴よりむしろ,画像における概念的示差性のある特徴を処理することによって,画像優位性効果 (PSE) が生起すると主張している(概念的示差性仮説). しかしながら,画像処理に利用される特徴に対して符号化課題が影響するのか否か,そして概念的示差仮説が顕在記憶におけるPSEにも適用可能なのか否かは明らかにされていなかった.そこで,筆者らは符号化課題,刺激形態,ならびに検索手がかり,検索意図を操作することによって,これらの問題に関して検討を行った.実験参加者は,画像または単語を,命名(実験1)もしくはカテゴリ分類(実験2)することにより学習した.そして,テスト課題として,意味的または概念的示差性のある検索手がかりが与えられる潜在記憶課題および顕在記憶課題に従事した.実験1の潜在記憶課題においては,概念的示差性のある検索手がかりが与えられた場合にのみPSEが生起したが,顕在記憶課題においては検索手がかりにかかわらずPSEが生起した.一方,実験2においては,いずれの条件においてもPSEは生起しなかった.本研究の結果,画像における概念的示差性情報が利用されるか否かは,符号化課題の性質とテスト時の検索意図に依存することが示唆された.

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