著者
市川 健夫
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.215-231, 1963
被引用文献数
1

1) 八ガ岳山麓西斜面における土地利用は,昭和恐慌・太平洋戦争・戦後を経て大きく変化した.広大な採草地は大部分が林地化し,一部は開拓された。馬産地であつた南部では,酪農が伸びて従来の養蚕にかわり,日本的な混合農業が営まれている.中部・北部では,部分的に洋菜・花卉が発展しているところもあるが, 1929年に三沢勝衛が規定した「穀桑式農業」が構造的な変化をうけずに維持されている.<br> 2) 東斜面の野辺山原では,戦前粗放的な牧野利用が卓越し,後進地域に属していた.ところが1936年の小海線全通後,集約的な遠郊式農業が始められた.さらに戦中・戦後を通じて開拓が大規模に進み,土地景観は一変した.現在ここでは酪農と自由式遠郊農業が有機的に結びついた商業的混合農業が成立しっっある。<br> 3) 八ガ岳の東・西斜面における土地利用は地域類型が異なり,きわめて非対称的であるが,いずれも高冷農業地域として高度な発展段階を示している。

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