著者
吉川 虎雄
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.552-564, 1971
被引用文献数
3

大地震の際におこった地殻変動の調査から生れた山崎直方先生の変動地形観は,その後の研究に大きな影響を与え,変動地形の研究はわが国の地形研究における一つの大きな柱として発展した.先生の変動地形観は,その後の研究によって改められるべき点も生じてきたが,基本的には正しいことが明らかになってきた.わが国における変動地形の研究は,現在ようやく山崎先生の意図しておられた段階に到達し,最近いちじるしい進展のみられる固体地球科学との連契を一層深めて,新しい段階に入るべき時期を迎えている.<br> 本稿では,変動地形について山崎先生が抱いておられた見解の中で,とくに現在の地殻変動と地形発達に関与した過去の地殻変動との関係についてのその後の研究の進展をのべ,地形構造の研究において今後とるべき一つの方向を論じた.

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