- 著者
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飯塚 高浩
神田 直
稲福 徹也
畑 隆志
坂井 文彦
- 出版者
- The Japan Stroke Society
- 雑誌
- 脳卒中 (ISSN:09120726)
- 巻号頁・発行日
- vol.16, no.4, pp.239-243, 1994
降圧薬の投与開始後短期間のうちに発症した脳梗塞について検討した.対象は降圧薬の服用開始後1ヵ月以内に発症した脳梗塞9例であり, 年齢は48歳から83歳, 平均66.7±10.5歳である.服用開始後発症までの期間は, 5例が7日未満であり, 平均10.1±8.6日.基礎疾患は高血圧に加え, 4例で糖尿病, 1例で心房細動を認めた.1例を除き全例初回発作であった.降圧薬の種類はCa拮抗薬が8例と最も多く, うち4例はβ遮断薬, ACE阻害薬など2種以上の降圧薬を初回より併用し, 1例は3剤同時開始例であった.また1例は単剤ではあるが高齢者に対して初回より常用最上限が投与され翌日の発症であった.責任病巣は, 放線冠など穿通枝領域が6例と最も多く, 皮質枝領域が2例, 境界領域が1例であった.機能予後は, 7例は独歩, 2例は車椅子であった.降圧薬の投与に際しては, 投与量に留意し, 原則として, 単剤, 少量から開始すべきであると考える.