著者
神田 直樹 伊藤 毅志
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.20-24, 2015-10-30

人間同士で行う人狼ゲームでは、一種の“通説”と呼ばれるプレイ戦略の指針のようなものによってプレイが行われることがある。しかし、人狼というゲーム自体歴史が浅く、これらの通説には疑わしいものも含まれている。本研究では、人狼知能プロジェクトが提唱する「標準ルール」において、基本的な役職行動と投票行動を行う“基準プレイ”を提案した。そして、人狼知能プロジェクトが提供している人狼サーバの自動対戦機能を用いて、基準プレイにおける勝率と通説を用いた場合の勝率を比較することで、通説の妥当性の検証を試みた。
著者
神田直之 武田龍 大淵康成
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2013-SLP-97, no.8, pp.1-6, 2013-07-18

本稿では Deep Neural Network (DNN) を用いた日本語音声認識に関する検討結果を述べる.DNN とは多数の階層を持った人工ニューラルネットワークモデルである.近年,多層のネットワークでも効率的に最適化できる手法が発表され,各種の認識タスクで従来法を上回る性能を示したことから,再び大きな注目を集めている.音声認識分野においても DNN に基づく音響モデルに関して既に多数の研究が行われ改善が進む一方で,日本語のテストデータを用いた検討結果は限られた学習データを用いた小規模な実験に限られていた.本稿では日本語話し言葉コーパス (CSJ) をテストセットとし DNN に基づく音響モデルに関する各種の評価を行った結果について述べる.特に 270 時間の学習データを用いた評価において,音素誤り最小化 (MPE) 学習された Gaussian Mixture Model に基づく音響モデルと比較して最大 28.2 %の認識誤りが削減され,DNN の認識性能の高さを日本語においても確認した.また DNN に基づく音響モデルにおいて,学習用の言語リソースが限られた状況でデータを擬似的に増加させる手法について新たに検討を行い,認識精度がさらに向上することを確認した.
著者
日野 英忠 古橋 紀久 神田 直 田崎 義昭
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.106-110, 1989-04-25 (Released:2009-07-23)
参考文献数
23
被引用文献数
1

頭部X線CTにより診断した前脈絡叢動脈領域梗塞7症例について臨床的検討を行った.神経症状として片麻痺, 半身感覚鈍麻, 半盲の三主要徴候のほか, 全例に著明な自発性低下, 記銘力障害を急性期に認めた.これらの発現機序として, 視床障害の関与を推察した.また見当識障害, 失計算も多くみられ, さらに大脳皮質症状である半側視空間失認, 病態失認も認められた.CT所見は特徴的な内包後脚全域の低吸収域のみならず, 外側膝状体に及ぶ病変も多くみられたが, 視床, 側頭葉, 中脳などのその他の灌流域での異常は認められなかった.脳血管写上, 多くの症例では本血管の主幹部または分岐部内頚動脈での狭窄所見を認めた.脳梗塞発症の原因として脳動脈瘤クリッピング, 高血圧症があげられる.その他蛋白同化ステロイド薬使用後, 再生不良性貧血, 妊娠中の発症があり, さらに性交を契機とした例もみられた.
著者
玉本 英夫 神田 直弥 湯川 崇 柴田 傑
出版者
東北公益文科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-10-21

貴重な無形文化財である民俗芸能の踊り(以下、踊り)は、地域の人々が協働して、踊りが演じられている場所に行って踊りを観てそして踊りに参加して踊りを覚える環境(伝承環境)を維持していくことによって伝承されてきた。今日、社会の少子高齢化と地域の過疎化に伴い、この環境の維持が難しくなったことによって、踊りの伝承が難しくなっている。本研究では、このことを鑑み、バーチャルリアリティ技術を活用し、地域の人々が協働して上記の本来的な伝承環境を維持できる仕組みを開発することによって、踊りの伝承を支援することを目指した。
著者
青木 信平 五十嵐 久佳 坂井 文彦 神田 直 田崎 義昭
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.175-179, 1988-04-25 (Released:2009-09-03)
参考文献数
11
被引用文献数
1

脳卒中急性期の患者を対象に血清K値の変動を観察した.対象は発症後24時間以内に来院した脳卒中患者161例 (脳出血96例, 脳梗塞65例) である.脳出血患者の平均血清K値3.63±0.05mEq/l (SE) は脳梗塞の平均値4.02±0.05mEq/lよりも有意に低値を示した (p<0.01).脳出血患者を意識レベルによりunresponsive群とresponsive群とに分け検討すると, 血清K値はそれぞれ3.43±0.76mEq/lと3.79mEq/lであり, unresponsive群が有意に低かった (p<0.01).また, 死亡群の平均血清K値3.51±0.06mEq/lは生存群の平均値3.72±0.06mEq/lよりも低く (p<0.05), 重症例では血清K値が低下することが示された.血漿エピネフリン濃度および血糖値と血清K値の間には有意な負の相関がみられ, 低K血症の発現は, ストレスに起因したKの細胞内への流入の可能性が考えられた.
著者
神田 直之 王 瑩 片岡 憲昭 山田 龍太 今泉 洋 狩野 直樹
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.717-728, 2015
被引用文献数
5

2011年3月12~15日に,福島第一原子力発電所事故が起こった。この事故は,近県に放射性物質汚染を引き起こした。本研究では,汚染された地域に及ぼすこの事故の影響を明らかにするため,新潟市と福島県における幾つかの湖沼の湖沼水と湖沼泥を採取した。湖沼水においては,固体高分子膜電解(SPE)装置によりトリチウム(T)比放射能の濃縮を行い,T-比放射能を液シンで測定した。このように測定したT-比放射能に基づき,環境に及ぼすこの事故の影響を調査した。それと同時に,湖沼泥中の放射性セシウムの比放射能も測定した。その結果,福島第一原子力発電所事故が近くの湖沼(例えば,福島県や新潟市)に及ぼす影響が定量的に明らかになった。以上のことから,新潟市に及ぼすこの事故の影響はかなり小さく,事故は徐々に収束していることがわかった。
著者
飯塚 高浩 神田 直 稲福 徹也 畑 隆志 坂井 文彦
出版者
The Japan Stroke Society
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.239-243, 1994

降圧薬の投与開始後短期間のうちに発症した脳梗塞について検討した.対象は降圧薬の服用開始後1ヵ月以内に発症した脳梗塞9例であり, 年齢は48歳から83歳, 平均66.7±10.5歳である.服用開始後発症までの期間は, 5例が7日未満であり, 平均10.1±8.6日.基礎疾患は高血圧に加え, 4例で糖尿病, 1例で心房細動を認めた.1例を除き全例初回発作であった.降圧薬の種類はCa拮抗薬が8例と最も多く, うち4例はβ遮断薬, ACE阻害薬など2種以上の降圧薬を初回より併用し, 1例は3剤同時開始例であった.また1例は単剤ではあるが高齢者に対して初回より常用最上限が投与され翌日の発症であった.責任病巣は, 放線冠など穿通枝領域が6例と最も多く, 皮質枝領域が2例, 境界領域が1例であった.機能予後は, 7例は独歩, 2例は車椅子であった.降圧薬の投与に際しては, 投与量に留意し, 原則として, 単剤, 少量から開始すべきであると考える.
著者
神田 直 林 英人 小林 祥泰 古橋 紀久 田崎 義昭
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.299-306, 1980-09-25 (Released:2010-01-22)
参考文献数
34
被引用文献数
4 1

脳卒中急性期の交感神経活動を知る目的で発症48時間以内の患者64例を対象に血漿カテコールアミンの変動を観察した.血漿ノルエピネフリン (NE) 値は, 脳出血, くも膜下出血, 脳梗塞の順に高く, その平均値はそれぞれ753±116pg/ml, 630±291pg/ml, 397±65pg/mlであった.脳出血の平均値は脳梗塞と対照とした非神経疾患々老19例の平均値292±2gpg/mlよりも有意に高値を示したが, 脳梗塞と対照の間には有意差を認めなかった.血漿NEの上昇はとくに大血腫, 広範な梗塞を伴う重症例で著しかった.死亡した13例の血漿NEの平均値1,199±162pg/mlは生存43例の平均値362±39pg/mlより有意に高く, 入院時の血漿NEは患者の生命予後を良く反映した.血漿エピネフリンについても同様の傾向がみられた.脳卒中急性期には交感神経系の興奮と副腎髄質機能の尤進を伴い, とくに予後不良な重症例で著しい.脳卒中急性期には脈拍,血圧,呼吸,体温などのvital signにしぼしば著しい変化がみられ,また発汗過多,消化管出血などを伴うことが少くない.これら多彩な臨床症状の発現には自律神経系が密接に関与していると推定される.さらに脳卒中患者ではValsalva試験における反応異常, 起立性低血圧, 体位変換に伴う血中ノルエピネフリン (NE) 反応の低下など自律神経機能異常がみられることが報告されている.一方最近では脳循環の調節機序における自律神経系の役割が注目され, 脳卒中急性期にみられる脳循環代謝動態の異常にも自律神経異常を伴うことが推測されるが,現在のところこれを実証するような成績は得られていない.したがって脳卒中急性期の自律神経活動についての観察は, 脳卒中の病態を解明する上でのひとつのアプローチになると考える.血中NEは主として交感神経の末端に由来し, その変動は交感神経活動をかなり鋭敏に反映すると考えられている.脳卒中患者においては尿中カテコールアミン (CA) 排泄量の増加があり, さらに血中 CAレベルが上昇することが報告されている.また交感神経刺激によりNEと共にexocytosisによって放出されるといわれるドーパミン-β-水酸化酵素 (DEH) 活性も脳卒中急性期には血中で上昇する.血清DBH活性の変動からみても, 血中NEの変化は脳卒中発症数日以内の急性期に著しいことが予想されるが, これらの報告者の成績ではその検討が十分になされていない.また血中CAレベルと臨床症状との詳細な関係についても明らかでない.最近のCA測定法の進歩は目覚しく, 特異性と感度に優れた測定法が開発されつつある.一方CTスキャンの導入により脳血管障害の診断精度は著しく向上し, 出血と梗塞の鑑別はもとより, 病巣部位までかなり正確に診断が可能となった.そこで著者らはとくに脳卒中発症後極く早期の患者を対象に血中CAの変動を観察し, さらにその臨床的意義についても検討を行った.
著者
神田 直之 駒谷 和範 中野 幹生 中臺 一博 辻野 広司 尾形 哲也 奥乃 博
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.12, pp.55-60, 2006-02-04
被引用文献数
4

複数のドメインを扱う音声対話システムにおいて,対話の文脈や進行に関する特徴量を導入してより精度よくドメイン選択を行う手法を開発したので報告する.本稿ではドメイン選択問題を,応答すべきドメインが,(I)ひとつ前の応答を行ったドメイン,(II)音声認識結果に対する最尤のドメイン,(III)それ以外のいずれかのドメイン,のどれに該当するかを判別する問題と捉える.ドメイン選択の正解を与えた対話データから,対話の文脈や進行に関する特徴量を用いて上記を判別する決定木を学習することにより,ドメイン選択器を構成した.5ドメインのマルチドメイン音声対話システムを用いた10名の被験者による評価実験の結果,音声認識尤度に基づく従来のドメイン選択手法に比べ,ドメイン選択誤りが11.6%削減された.We have developed a robust domain selection method using dialogue history in multi-domain spoken dialogue systems. We define domain selection as classifying problem among (I) the domain in the previous turn, (II) the domain in which N-best speech recognition results can be accepted with the highest recognition score, (III) other domains. We constructed a classifier by decision tree learning with dialogue corpus. The experimental result using 10 subjects shows that our method could reduced 11.6% domain selection error, compared with a conventional method using speech recognition likelihoods only.