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ベルクソンにおける労働とその価値
著者
永野 拓也
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学
(
ISSN:03873358
)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.50, pp.234-243, 1999
ベルクソン哲学において、人間の労働 (travail) とは、道具を作ること、すなわち、知性 (intelligence) と不可分な製作行為 (fabrication) であり、人間の労働の価値についての探求は、この製作行為をめぐってなされる。とはいえベルクソンは、最初から製作行為の価値を考察するのでなく、存在論的な観点に立ち、経験に基づいて、製作行為の存在理由を探るところから始める (『創造的進化』) 。こうした存在論的探求を踏まえて、『道徳と宗教の二源泉』 (以下『二源泉』) は、製作行為を、その極限的な形態である機械産業 (machinisme) として捉え、製作行為の存在理由そのもののうちに、今度は価値と呼べるものを求めるのである。ここに見られるような探求の性格、すなわち、知性的な思索においてでなく、経験に基づく存在論を足掛かりとして、価値論的問題を探るという仕方は、ベルクソン哲学の本質的な一側面である。こうした本質的な側面は、知性と不可分であると理解される製作行為が主題であるからこそ、特に明確に現われると思われる。知性と制作行為の関係を確認した上で、ベルクソン哲学における制作行為の価値づけを、さらに子細に検討することが重要であろう。以下の二つの観点を中心に、この問題の検討を行いたい。<BR>一、ベルクソンの哲学において、知性はいかに純粋な認識能力としての地位を失い、労働との関わりの中で新たな地位を得るか。<BR>二、『創造的進化』、および『二源泉』における、人間の労働の存在理由とはいかなるものか
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[Bergson][哲学] 永野拓也(1999)「ベルクソンにおける労働とその価値」哲学 1999(50), 日本哲学会
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