著者
永野 拓也
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.50, pp.234-243, 1999

ベルクソン哲学において、人間の労働 (travail) とは、道具を作ること、すなわち、知性 (intelligence) と不可分な製作行為 (fabrication) であり、人間の労働の価値についての探求は、この製作行為をめぐってなされる。とはいえベルクソンは、最初から製作行為の価値を考察するのでなく、存在論的な観点に立ち、経験に基づいて、製作行為の存在理由を探るところから始める (『創造的進化』) 。こうした存在論的探求を踏まえて、『道徳と宗教の二源泉』 (以下『二源泉』) は、製作行為を、その極限的な形態である機械産業 (machinisme) として捉え、製作行為の存在理由そのもののうちに、今度は価値と呼べるものを求めるのである。ここに見られるような探求の性格、すなわち、知性的な思索においてでなく、経験に基づく存在論を足掛かりとして、価値論的問題を探るという仕方は、ベルクソン哲学の本質的な一側面である。こうした本質的な側面は、知性と不可分であると理解される製作行為が主題であるからこそ、特に明確に現われると思われる。知性と制作行為の関係を確認した上で、ベルクソン哲学における制作行為の価値づけを、さらに子細に検討することが重要であろう。以下の二つの観点を中心に、この問題の検討を行いたい。<BR>一、ベルクソンの哲学において、知性はいかに純粋な認識能力としての地位を失い、労働との関わりの中で新たな地位を得るか。<BR>二、『創造的進化』、および『二源泉』における、人間の労働の存在理由とはいかなるものか
著者
宮原 孝治 稲葉 知己 野間 康宏 津崎 龍一郎 石川 茂直 馬場 伸介 和唐 正樹 妹尾 知典 永野 拓也 高口 浩一 河合 公三
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.341-347, 2009 (Released:2012-07-17)
参考文献数
13

症例は75歳,女性.心窩部痛のため前医を受診.内視鏡にて胃体部にびらんを伴う小隆起性病変が散在し,生検組織で真菌を多数認めた.酸分泌抑制剤も抗真菌剤も無効であり紹介された.胃液分泌検査でBAO0.6mEq/hr,MAO1.49mEq/hrと低酸状態であり,Helicobacter pylori陽性であった.炎症改善と酸分泌回復を目的として除菌療法を行い,症状,内視鏡所見とも著明な改善を得た.