著者
飯田 真紀
出版者
The Chinese Linguistic Society of Japan
雑誌
中国語学 (ISSN:05780969)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.254, pp.143-163, 2007

本稿は広東語の文末モダリティ助詞a3及びwo3の意味機能を主に論じたもので、その際に〈声〉と〈情報〉という対立概念を提出し、その有効性を他の文末助詞の分析においても証明しようというものである。 本稿はまず、a3とwo3の文末助詞体系における位置付け並びに文法的振る舞いから、その意味機能が発話 (utterance) の聞き手への (一方的) 発信伝達であることを導き出し、両者の違いはそれらが発信伝達する発話の種類が、a3は〈声〉、wo3は〈情報〉であると結論付けた。さらに、a3やwo3と音形式が類似する別の文末助詞a4、wo4、a5、wo5の意味機能分析にも〈声〉と〈情報〉の対立が応用できることを論じた。

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