著者
小林 弘 川島 康代 竹内 直政
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.153-160, 1970
被引用文献数
1

本研究はコルヒチン処理とair-drying法によりフナ属魚類の体細胞の染色体を観察した.その結果, 金魚, キンブナ, 宮崎系ギンブナ (雄の1個体を除く), ヨーロッパブナ等の染色体数はいずれも100で, 核型分析の結果も一致し, metacentricは10対で20個, submetacentricは20対で40個, acrocentricは20対で40個の染色体よりなり, acrocentricのほぼ5対目の染色体にはsatelliteが認められた.また核学的には雌雄の問では差異は認められなかった.一方関東系ギンブナ30個体中の28個体は染色体数が156で, 核型分析の結果, metacentricが17対で34個, subrnetacentricが31対で62個, acrocentricが30対で60個であった.また残りの2個体では206の染色体数が数えられ, その核型分析の結果は, metacentricに22対で44個, submetacentricに41対で82個, acrocentricに40対で80個の染色体があり, acrocentric中にはsatelliteが認められた.以上の結果より, 関東系ギンブナはフナ属魚類中に生じた3倍体および4倍体に相当するものではないかと考え, これが関東地方のギンブナに雌のみを生ずる原因と関連をもつものではないかと推測した.

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