- 著者
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山崎 寿
西村 国男
田口 亮平
- 出版者
- The Japanese Society of Sericultural Science
- 雑誌
- 日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.5, pp.413-419, 1955
6年生櫟樹の主幹及び側枝における貯蔵澱粉含有量の季節的変化を顕微化学的に追求し, 次の結果を得た。<BR>(1) 貯蔵澱粉の含有量は主幹においても側枝にても, 又各々の1年生部位, 2年生部位, 3年生部位及び4年生部位にても殆んど同様の季節的変化を示した。然し各部位共その先端部はその基部に比較して貯蔵澱粉の増減の変化がより判つきりしている。<BR>(2) 各部位共貯蔵澱粉の最大期は, 春の雨芽直前 (5月上旬) と秋の黄葉期 (10月中旬) との2回あり, 後者は前者に比して特に顕著である。貯蔵澱粉の最少期は初夏の雨芽伸長期 (6月上旬) と厳冬期 (1月上旬) との2回で, 前者では木質部の貯蔵澱粉は殆んど消失し, 後者では皮部木質部共に殆んど皆無になる。<BR>(3) 冬期貯蔵澱粉の減少に伴う脂肪の増加は認められず, 糖類の増大が起る。<BR>(4) 貯蔵澱粉の蓄積は皮部においては求心的に起り, 減少の場合は遠心的に消失する。木質部では斯る組織的な差異は認め難い。<BR>(5) 春期形成層が活動を始める時期は5月中旬- 下旬で, 主幹側枝共に1, 2年生部位は, 3, 4年生部位より早い。この時期より新しく形成された春材部に澱粉が出現するまでの期間は1, 2年生部位では3, 4年生部位よりも長い。秋材は6月下旬-7月上旬に生成が始まり, 各部位共殆んど同時にその部分に澱粉が現われる。<BR>(6) 幹及び側枝のところどころにおいて, 周皮と初生皮層との間に特殊な貯蔵組織が形成せられここに澱粉の蓄積が起る。これは9月中旬-10月上旬に生成され, 黄葉期には澱粉が充満するが冬期には澱粉は消失する。