- 著者
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新村 末雄
石田 一夫
- 出版者
- 日本繁殖生物学会
- 雑誌
- 家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, no.3, pp.99-105, 1976
妊娠5日12時間から16日までのハムスターの子宮に出現する巨細胞をORSINIに従って第1次巨細胞と第2次巨細胞に分け,それぞれについて核酸,たん白質,多糖類,脂肪を染色し,さらに,Acid Pase,Alk Pase,Etase,SDH,各種OH-SDHの組織化学的検出を試みた。<BR>第1次巨細胞は細胞質突起をもっており,妊娠5日12時間にすでに着床腔周辺とエクトプラセンタルコーン付近にみられ,次第に増えてライヘルト膜近くの子宮内膜に分布し網状構造を形成した。この時期の巨細胞にごは赤血球の破片が貧食されていた。妊娠後期には紡錘状となって減少した。第2次巨細胞は多角形で,7日12時間に増殖中のエクトプラセンタルコーンの外側に多数出現し,後に合胞体化して栄養海綿体を形成した。<BR>これらの巨細胞は常に多量のRNAを含有しており,acrolein-SCHIFF陽性たん白質も少量観察された。グリコゲン穎粒は第1次巨細胞では妊娠12日まで,第2次巨細胞では13日まで,いずれも少量認められた。酸性多糖類はまったく検出されなかった。脂肪小滴は第1次巨細胞では8日まで少量認められ,第2次巨細胞では10日から出現し次第に増加した。AcidPase活性は弱かったが,妊娠期間をとおして常に認められた。Alk Pase活性は弱かったが8日まで存在し,9日で痕跡的となり11日に消失した。SDH活性は第1次および第2次巨細胞とも常に弱かった。Etaseと各種OH-SDHは検出されなかった。<BR>以上のことから,ハムスターの巨細胞は従来いわれているように移行性と貧食性をもっており,胞胚の着床や着床腔の拡大に関与していることが示唆されたが•ラットやマウスにみられるようなOH-SDHは検出されなかったので,プロジェステロンの産生は行われていないように思われた。