著者
広江 一正 富塚 常夫
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.95-99, 1965-11-30 (Released:2008-05-15)
参考文献数
21

1.牛精漿中の化学成分含量の測定を行なった。果糖713±246.0,総窒素813±167.0,アスコルビン酸8.6±1.52,酸溶性総リン35.3±6.34,カルシウム30.9±11.05.ナトリウム267±39.8,カリウム124±61.1,および塩素154±26.9mg/100ml精漿。また同時に山羊,馬,豚,兎についても測定を行なった。2.牛精漿中の総窒素,アスコルビン酸,酸溶性総リン,カルシウム,ナトリウム,カリウムでは果糖と同じく季節的な量的変化は見られなかった。3.3回続けて精液採取を行なったある1頭の牛の例では,果糖および総窒素は次第に増加の傾向を,アスコルビン酸,酸溶性総リン,カルシウムは次第に減少の傾向を示した。4.尿導球腺液および精のう液についてその化学成分含量の測定を行なった。尿導球腺中の成分含量は精液に比べて非常に少なかったが,精のう液中の成分含量は精液中の含量よりも若干多かった。このことは電気刺激射精法で採取した精液中には尿導球腺液が混入していることを示すものと考えられた。
著者
広江 一正 富塚 常夫
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.27-31, 1965-05-30 (Released:2008-05-15)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

ホルスタイン種雄子牛6頭について,生後5ヵ月から17カ月までの間,電気刺激射精法によって毎週1回精液採取を行ない,精液一般性状検査並びに精漿成分含量の測定を行なった,その結果は次の如くであった。1.春機発動期(puberty)は生後8.5カ月であった。2.精液量が2.5ml以上になったのは生後12カ月,精子濃度が1ml中4億以上になったのは13カ月,総精子数が10億以上になったのも同じく13カ月であった。また精子生存指数が50以上になったのは11カ月であった。3.pHは生後6カ月まではアルカリ性(8.0以上)を示したが,その後次第に中性となり,10カ月以降は6.8以下となった。4.精漿中に果糖がはじめて認められたのは生後5.3カ月であった。5. 果糖および総窒素が500mg/100ml以上に,またカルシウムが19.5mg/100ml以上になったのは生後9カ月であった。酸溶性総リンが35.0mg/100mlになったのは13カ月,アスコルビン酸が6.5mg/100m,l以上になったのは14カ月であった。6. 塩素はpHと同じ傾向を示し,8カ月までは多量に存在したがその後次第に減少し,270mg/100ml以下となったのは11カ月であった。7.ナトリウムとカリウムは生後6カ月から17カ月までの間,特に増減を示さず,ほぼ同じ量を示した。8.以上の結果から綜含して,ホルスタイン種雄牛の性成熟期は生後13~14カ月と認められる。
著者
向居 彰夫 岡本 昌三
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.19-21, 1959-07-10 (Released:2008-05-15)
参考文献数
4

MARDEN(1954)の報告に基き電極(直径4.7cm,長さ33cmの木製円柱の周囲に幅0.85cm,長さ27.5cmの4枚の銅板を90°の間隔ではめ込み,相対する銅板を同極となるよう接続する)及びパルス発生装置(パルスの周波数及び電圧を0~70c/s,0~10Vの連続可変とした最大出力約7W,インピーダンス6~10Ω)を作り25~30c/sの電流を用いて2秒通電,1秒切断を反復しながら電圧を0.7V程度から牛体の反応に応じて徐々に上昇させると,0.7~3.2Vでペニスが勃起し,3.9~6.4Vで射精が開始され,更に数回の反復刺戟によつて良好な精液を得ることに成功した。
著者
渡辺 守之 三浦 雅彦 茂田 洋史
出版者
THE SOCIETY FOR REPRODUCTION AND DEVELOPMENT
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.58-60, 1969
被引用文献数
1

38ヵ月令の白色種雄から採取した原精液0.1m<I>l</I>を10ヵ月令の青銅色種雌に注入して次の成績を得た。<BR>1.受精率は97.3%,ふ化率83.4%でかなり良好な結果を得た。<BR>2.受精卵の持続日数は61日で七面鳥の平均受精卵持続日数よりかなり上廻った。<BR>3.上記の成績は今後のわが国における七面鳥の人工授精の実施に明るい見透しを示すものである。
著者
岡本 昌三 石井 尚一 向居 彰夫
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.22-24, 1959-07-10 (Released:2008-05-15)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

1)ジャージー種牡牛2頭を人工気候室(室温昼間32°C,夜間30°C,湿度55~60%)内に5週間収容して,うち1頭の陰嚢を流水をもつて冷却し,他の1頭は対照として無処置とし,その間の精液性状の変化を調べた。2)精液量は漸増し,精子濃度及び1射精当り総精子数は漸減して,特に第4~5週において著明な減少が認められ,この傾向には両区間に差が認められなかつた。3)活力,異常精子率及び精子生存日数については,対照区では著しく悪化し,精子の運動力を示すものなく,異常精子率は約90%にまで及んだが,冷却区ではほとんど変化が認められなかつた。4)以上の結果から造精機能の保持に対する陰嚢冷却の効果は期待されないが,精子の成熟過程における高温の有害作用はおおむね防除し得ると考えられる。
著者
農林省農業技術研究所家畜部繁殖科 台湾省政府農林庁農業試験所畜産試験分所
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.59-61, 1956-09-20 (Released:2009-08-14)
参考文献数
3

昭和29年即ち民国42年の夏に日本千葉市にある農林省農業技術研究所家畜部から台湾省台南の新化鎮にある台湾省農業試験場畜産試験分所及び台北市にある農林庁に牛及び豚の精液が空輸された。空輸時間は約7時間であつた。輸送状況及び結果は次の通りである。牛の場合は5回に亘つて4頭8例の精液をセミナンで4,5倍に稀釈し4℃の輸送器に入れて台南県下及び台北市に輸送された。精液採取より到着時の活力検査までの時間は23~49時間,採取から授精までの経過時間は24~55時間であつた。5回中1回は輸送器の温度が輸送中に上昇し,この精液は授精試験から除外された。輸送精液を22頭に各1発情だけ授精し7頭受胎,即ち31.8%の受胎率を得た。供試牝牛中には授精条件の不適なものが多く,授精適期の健康な牝牛を選定すれば更に良好な成績が期待出来ると思われる。豚の場合は3頭7例の精液を原精液にサルファ剤を添加しただけのもの,サルファ剤添加卵枸糖液で倍量に稀釈したもの,及びセミナンで倍量に稀釈したもので,15℃にして輸送した。精液採取より到着までの時間は23~49時間で,到着時の温度は発送時よりも5~11℃上昇していた。然し到着時の精子の活力は1頭を除く他の2頭で70~90 ?? の良好な成績が得られ,静置した対照と余り変る処がなく,充分授精の可能性があることを知つた。本実験では4頭に授精して2頭が受胎した。
著者
豊田 裕 横山 峯介 星 冬四郎
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.152-157, 1971-06-25 (Released:2008-05-15)
参考文献数
19
被引用文献数
218 214

ICR-JCL系成熟雄マウスの精巣上体尾部から採取した精子をKrebs-Ringer-Bicarbonate液を基本とする 培養液内に懸濁させ,5%CO2,95%空気,温度37°Cの条件で3~120分の種々の時間培養した後,体外受精に供した。卵子としてはHCG注射後16~17時間の過排卵卵子を用いた。その結果,体外に培養された精子は雄から採取直後の精子よりも早く卵子に侵入することが明らかとなり,in vitroにおいてマウス精子の受精能獲得が起こることが示唆された。追記: 本報の投稿後に知ったIwAMATSU&CHANGの最近の報告(J.exp.Zool.175,271,1970)によると,1)精巣上体精子は牛の卵胞液の存在下に授精後約1時間から卵子への侵入を開始し侵入率は授精後5時間まで漸増する。2)牛の卵胞液とともに3~4時間体外培養された精子は新鮮精子よりも早く卵子へ侵入する,ことが報じられている。前報の成績17)に比し侵入時期が早くなっているのは技術的な改良によると推察している。ただし,牛の卵胞液を用いずに精子を前処理する試みはなされていない。
著者
豊田 裕 横山 峯介 星 冬四郎
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.147-151, 1971-06-25 (Released:2008-05-15)
参考文献数
19
被引用文献数
236 260

ICR-JCL系成熟雄マウスの精巣上体尾部から採取した精子と,HCG注射後16~17時間の成熟雌マウスの卵管膨大部から採取した過排卵卵子を用いて体外受精を試み受精の初期の過程を観察した。培養液としてはKrebs-Ringer-Bicarbonate液を基本としたものを用い,5%の割合で炭酸ガスを混じた空気の下に37°Cで1/2~5時間培養した。その結果,培養開始後30分では卵子への精子侵入(透明帯通過)は認められなかったが,1時間後には約23%の卵子に侵入がみられ2~5時間後に検査された331個の卵子の約94%に精子侵入がみられた。このうち卵細胞内に明らかに精子が認められ受精の初期の過程にあると認められたものは294個(88.8%)であった。
著者
新村 末雄 石田 一夫
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.99-105, 1976

妊娠5日12時間から16日までのハムスターの子宮に出現する巨細胞をORSINIに従って第1次巨細胞と第2次巨細胞に分け,それぞれについて核酸,たん白質,多糖類,脂肪を染色し,さらに,Acid Pase,Alk Pase,Etase,SDH,各種OH-SDHの組織化学的検出を試みた。<BR>第1次巨細胞は細胞質突起をもっており,妊娠5日12時間にすでに着床腔周辺とエクトプラセンタルコーン付近にみられ,次第に増えてライヘルト膜近くの子宮内膜に分布し網状構造を形成した。この時期の巨細胞にごは赤血球の破片が貧食されていた。妊娠後期には紡錘状となって減少した。第2次巨細胞は多角形で,7日12時間に増殖中のエクトプラセンタルコーンの外側に多数出現し,後に合胞体化して栄養海綿体を形成した。<BR>これらの巨細胞は常に多量のRNAを含有しており,acrolein-SCHIFF陽性たん白質も少量観察された。グリコゲン穎粒は第1次巨細胞では妊娠12日まで,第2次巨細胞では13日まで,いずれも少量認められた。酸性多糖類はまったく検出されなかった。脂肪小滴は第1次巨細胞では8日まで少量認められ,第2次巨細胞では10日から出現し次第に増加した。AcidPase活性は弱かったが,妊娠期間をとおして常に認められた。Alk Pase活性は弱かったが8日まで存在し,9日で痕跡的となり11日に消失した。SDH活性は第1次および第2次巨細胞とも常に弱かった。Etaseと各種OH-SDHは検出されなかった。<BR>以上のことから,ハムスターの巨細胞は従来いわれているように移行性と貧食性をもっており,胞胚の着床や着床腔の拡大に関与していることが示唆されたが&bull;ラットやマウスにみられるようなOH-SDHは検出されなかったので,プロジェステロンの産生は行われていないように思われた。
著者
石島 芳郎 伊藤 雅夫 田 暢淇
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.109-111, 1969
被引用文献数
2

PMSによる家兎の過排卵誘起にestrogen注射を併用することが有効かどうか再検討すると共に,estrogenを併用した場合としない場合の卵巣所見の比較から併用効果の機序について考察を試みた。<BR>40IUのPMSを5日間,計200IU皮下注射し,24時間または48時間経過して交配した過排卵対照区の平均排卵数は21.3~24.1コ,過排卵陽性率50~63.6%に対し,PMS注射最終日に0.1mgのestradiol注射を併用した区の平均排卵数は32.5~37.8コ,過排卵陽性率87.5~100%で,estrogenを併用することにより排卵数が高められる傾向にあった。未破裂卵胞数は,排卵数の多いestrogen併用区は少なく,対照区は多くなっていた。<BR>また,過排卵対照区と併用区について,卵胞を1~1.4mm,1.5~2.4mm,2.5mm以上の3種に分類して経時的に発育程度を比較したが,3種の卵胞数の推移は両区ともまちまちで,わずかに総卵胞数においてestrogen併用区が優っていたにすぎない。<BR>これらの結果から,estrogen併用注射は,外面的には卵胞発育に対し直接影響を与えていないにもかかわらず,未破裂卵胞を減じ排卵数を増加させる効果がみうけられた。
著者
井上 晴夫 榎木 栄人 三宅 勝 鶴之園 正昭
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.7-10, 1960-07-10 (Released:2008-05-15)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1
著者
大島 正尚 野崎 博
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.124-126, 1960-03-31 (Released:2008-05-15)
参考文献数
6

輸卵管の卵白分泌部を卵が通過するとき,卵白分泌部の単位組織量あたり,46%の窒素の減少が見られる。その差を卵白分泌部について計算すると,平均して鶏卵の卵白の窒素の88%となつた。鶏卵の卵白の蛋白質の大部分(約90%)は卵白分泌部にすでに分泌されていて,卵が下降する間に附着されるもので,通過時に分泌され附着されるものは小部分にすぎない。
著者
尾川 昭三
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.151-154, 1959-03-20 (Released:2008-05-15)
参考文献数
13

1)精管の副睾丸尾部端を切断しても精管は射精様運動を営むが,末梢端の切断では精管は運動せず他の副性器群にのみ射精様運動が認められた。2)副睾丸に生理食塩液を注入して内容を増加せしめると射精様運動の発現回数を増加する傾向を又精嚢を剔出するとこの運動の回数の減ずることを認めた。3)副睾丸尾部,前立腺,精嚢の各々に塩酸プロカイン液を注入することに依り射精様運動は減退するか或は全く休止することを知つた。4.これらの知見及び前報の成績から,射精機構に於けるandrogenの生理的意義について考察した。
著者
菅徹 行 正木 淳二
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.104-111, 1973

卵巣摘出牛7頭に,エストラジオールおよびプロゲステロンを単独あるいは混合注射して,牛子宮におけるフラクトースとソルビトールの産生に及ぼす卵巣ホルモソの影響を調べ,次の結果を得た。<BR>1.卵巣摘出30日後には子宮内フラクトースおよびソルビトールは消失していた。<BR>2.エストラジオール2mgを8時間間隔で5回筋肉内注射した場合,48時間以内に発情が誘起されたが,フラクトースおよびソルビトールの生産は認められなかっな。<BR>3.プロゲステロン5mgを8時間間隔で5回子宮実質内注射した場合,子宮内でフラクトースおよびソルビトールが産生されたが,エストラジオール2&mu;gとプロゲステロン5mgを混合注射した場合には,両成分の産生がさらに促進され,両ホルモンによる協同作用が明らかに認められた。
著者
芦田 浄美
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.53-56, 1959-09-30 (Released:2008-05-15)
参考文献数
7

ラット,家兎,及び乳牛を使用して子宮内膜グリコーゲンの性ホルモン給与による影響及び性周期に伴う変動をAnthrone法によつて検討した。その結果,子宮内膜グリコーゲンはestrogen給与ひごよつて増量することが認められるも,progesterone,EPホルモン給与によつて更に増量することが認められた。又所謂,卵胞期と黄体期における子宮内膜グリコーゲン量は卵胞期よりむしろ黄体期において増加するものと思われる成績が得られた。
著者
梅津 元昭
出版者
THE SOCIETY FOR REPRODUCTION AND DEVELOPMENT
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.87-93, 1973

PMS注射による幼若雌ラットの排卵誘起に対し,アンチエストロジェン作用を有するクロミヘンを処理することにより排卵の抑制がみられるが,今回はその排卵抑制に対するエストロジェンおにびプロゲスチソの影響について種々の検討を加え,次の結果を得た。<BR>1) 24~26日令のラットを用い,3IUのPMSを注射後6時間にクロミヘン2.5mg/100 g b.w.を注射した時,排卵の抑制がみられ,排卵は1日遅れた。子宮除去ラットでも同様の結果が得られた。<BR>2) 上記のPMSおよびクロミヘン処理で,PMS注射後エストラジオールを種々の時間に単一皮下注射したところ, PMS注射後3時間のエストラジオール0.5μg, 5μg処理,6時間,9時間および51時間のそれぞれ5μg処理で高い排卵率が得られ,排卵抑制効果はほぼ打ち消された。<BR>3) 同様に, PMS処理後プロゲステロンを種々の時間に処理したところ,PMS注射後45~54時間の0.2mg, 2mg処理で高い排卵率を示した。<BR>4) PMSおよびクロミヘン処理でPMS注射後51時間にコルチゾン•アセテート,コルチコステロン,17α-ハイドロキシ•プロゲステロンを0.2mgおにび2mg処理したが,排卵は全くみられなかった。
著者
渡辺 守之 三浦 雅彦 茂田 洋史
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.58-60, 1969-09-30 (Released:2008-05-15)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

38ヵ月令の白色種雄から採取した原精液0.1mlを10ヵ月令の青銅色種雌に注入して次の成績を得た。1.受精率は97.3%,ふ化率83.4%でかなり良好な結果を得た。2.受精卵の持続日数は61日で七面鳥の平均受精卵持続日数よりかなり上廻った。3.上記の成績は今後のわが国における七面鳥の人工授精の実施に明るい見透しを示すものである。
著者
渡辺 守之 浜中 勝司 安井 光昭
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.137-139, 1967-03-31 (Released:2008-05-15)
参考文献数
28

七面鳥の人工授精に関する基礎的研究として七面鳥特有の保定台を考案しmilkingを伴ったマッサージ法により容易に採精可能なことを確認した。得られた精液の一般性状は次の通りである。採精量は0.05~0.3ml,平均0.11ml;pHは7.0~7.8,平均7.6;1mm3中の精子数は2.11~18.20百万,平均5.11百万;総精子数は1.62~27.30億,平均6.12億であった。なお精子の大きさは全長82.7~93.7μ,平均86.8±0.56μ;頭部長8.0~13.0μ,平均10.4±0.25μであった。
著者
金川 弘司 河田 啓一郎 石川 恒 村本 淳一 小野 斉
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.19-22, 1966-06-30 (Released:2008-05-15)
参考文献数
10

2例のフリーマーチンおよび雄からなる牛の異性3仔1組について血液の白血球培養,骨髄細胞のコルヒチン処理あるいは2~3の臓器の培養材料によって性染色体のキメラの有無を観察した。対照として4例の経産牛(異性3仔の雌1および同性雌3仔一組)について白血球培養法による性染色体の観察を行なった。また,2例のフリーマーチンの生殖器を形態学的に調べた。その成績を要約すれば次に示す通りである。1)フリーマーチン(2例)およびそれと同胎の雄牛(1例)では,血液の培養白血球および骨髄細胞の観察により例外なく性染色体のキメラ(XX/XY)が認められた。しかし,性腺,腎,肺,甲状腺などの組織の培養材料ではいずれもキメラは観察されなかった。一方,対照例の培養白血球では全例キメラが認められず,いずれも正常な雌型構成(2A-XX)のみがみられた。これらのことから異性3仔においても,異性双仔の場合と同様,培養白血球によりフリーマーチンの早期診断が可能であることを知った。2)同胎であった2例のフリーマーチンは生殖器奇形の程度に解剖学的に若干の差を示したが,キメラの出現率は雄牛を含む同胎3仔の間で有意差がみられず,培養白血球と骨髄細胞の間にもキメラの出現率には有意差が認められなかった(P<0.05)。
著者
金田 義宏 岡 基 旭 興正
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.68-76, 1969-09-30 (Released:2008-05-15)
参考文献数
12

1964年6月から1965年8月の間,青森県集約酪農地域内で乳牛飼養頭数の比較的多い8市町村において,400戸の農家を対象として3回にわたって成雌牛延3,520頭の繁殖状況を調査して次の成績が得られた。1.妊否の割合は各調査時ともほぼ同率でとくに差異は認められなかった。2.病的空胎牛は510頭(14.5%)で,この内訳は卵巣疾患が166頭(32.6%),卵巣と子宮疾患の合併症が168頭(32.9%)で最も多く,ついで子宮疾患が119頭(23.3%),低受胎が25頭(4.9%),その他31頭(6.3%)であった。3.卵巣疾患の主体は鈍性~微弱発情および卵胞発育障害で,その他に持続性発情,卵巣嚢腫,黄体形成不全,卵巣卵管癒着,永久黄体が少数みられた。4.子宮疾患の主体は子宮内膜炎で,その他に子宮下垂,子宮粘液症,頸管炎,子宮発育不全,子宮膿瘍がみられた。5.腟疾患では尿腟が多く,その他に腟炎が少数みられた。6.経産牛では鈍性~微弱発情,卵胞発育障害あるいはこれに子宮内膜炎を併有する合併症が多く,未経産牛では子宮内膜炎,低受胎,卵巣発育不全が多くみられた。7.子宮疾患,卵巣•子宮•腟疾患の合併症,腟疾患および低受胎と診断されたもののうち,1年以内に回復受胎したものは39.1%(52/133頭)であり,卵巣疾患および卵巣•子宮疾患の合併症における65.4%(138/211頭)と比較して低率を示していた。8.調査期間中に受胎した1,076頭のうち授精3回以内で受胎したものは,未経産,経産牛ともに90%内外を示していたが,空胎期間がかなり長いものが経産牛において多く認められた。9.空胎期間は分娩月によってかなりの差がみられ,4~6月および11~12月分娩牛はその他の月の分娩牛に比べて長い傾向がみられた。10.調査期間中に売却された乳牛421頭のうち繁殖障害および不妊の理由によるものが124頭(29.5%)でかなり高率を示していた。11.繁殖成績は地区により著しく異なり,病的空胎率はとくに開拓農家において高率であった。