- 著者
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武田 たつ代
吉松 藤子
- 出版者
- 一般社団法人 日本調理科学会
- 雑誌
- 日本調理科学会誌 (ISSN:09105360)
- 巻号頁・発行日
- vol.14, no.1, pp.49-54, 1981
鰹節の水だし汁のとり方について浸出温度,時間と試料形態について検討した結果は次のようであった.<BR>1.浸出温度20℃ では,粉砕のもので16時間,薄片状で20時間,5℃ では,いずれも32時間で旨味成分の浸出量が最高に達することが認められた.<BR>2.各成分の浸出量は,時間の経過に伴って増加したが一定時間の後は減少した.従って過度の浸出時間は,かえってマイナスになる.<BR>3,だし汁の採取量は,自然湧過では薄片状の方が,吸引游過では粉砕のものの方が,より多く得られた.<BR>4.5'-AMPの浸出量は一定時間の経過後に減少し入れかわりに5'-IMPが増加した.<BR>5.各成分の浸出量は10~30分の浸出でも,かなり高く5'-AMPは煮だし汁の66~77%,5'-IMPは80%であった.<BR>6.水だし汁(最高の浸出条件)と煮だし汁の5'-AMP,5'-IMPの浸出率を比較すると5'-IMPでは煮だし汁は鰹節中の含有量の約70%であり,水だし汁は煮だし汁の約光であった.5'-IMPについては両者間に大きな差はなく約80~90%であった.