著者
吉村 修 中島 新助 村田 伸
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.G3P2557, 2009

【目的】身だしなみは人の印象を決定する重要な要素である.特に臨床の場では人間関係を良好にする基本的なマナーとして必要とされる.今回、当院の患者及び職員に対し、臨床現場における理学療法士(以下PT)及び実習生(以下PTS)の身だしなみについてのアンケート調査を行ったので報告する.【方法】理学療法施行中の患者36名(男性15名、女性21名、平均年齢59.0歳)、看護スタッフ(看護師・看護助手)141名(男性14名、女性127名、平均年齢34.7歳)、PT・作業療法士・言語聴覚士のリハビリテーションスタッフ(以下リハスタッフ)31名(男性12名、女性19名、平均年齢27.4歳)を対象として、PT及びPTSの身だしなみに関する質問紙調査を無記名方式で行った.対象者に対しては事前に説明をして同意を得た.アンケートの内容は、男女の茶髪、男女の指輪、男女のピアス、男女の香水、女性の化粧、女性のマニキュア、伸びた爪、男性の長髪、無精ひげ、カラーの靴下、白衣の下にカラーのシャツを着ることの15項目からなり、質問は全て「~していてもかまわない.」の文章構成とし、回答は「そう思う」「そう思わない」の2件法で選択してもらった.回答の「そう思う」「そう思わない」をそれぞれ1点、0点と得点化(満点15点)し、合計点を尺度得点としたが、点数が高いほど身だしなみに寛容であることを表す.統計処理には二元配置分散分析を用いて検討し、その後、Scheffeの多重比較検定を行った.なお、統計解析には StatView 5.0 を用い、統計的有意水準を5%とした.【結果】PTに対しての身だしなみ尺度得点の平均±標準偏差は、患者8.0±3.6、リハスタッフ6.7±2.3、看護スタッフ4.6±2.7であった.PTSに対しての身だしなみ尺度得点の平均±標準偏差は、患者7.3±3.7、リハスタッフ3.9±3.0、看護スタッフ3.8±2.9であった.PTの身だしなみに関しては、患者とリハスタッフは、看護スタッフより有意に高い得点をつけていた(p<0.05).PTSに関しては、患者は、看護スタッフとリハスタッフより有意に高い得点をつけていた(p<0.01).【考察】患者は、PT及びPTSに対して寛容な見方をしており、看護スタッフは、両者に対して厳しい見方をしていた.このことから、患者と看護スタッフは、両者を区別せずに、同様な見方をしていると思われた.リハスタッフは、PTに対しては寛容な見方をしているが、PTSに対しては厳しい見方をしていた.このことから、リハスタッフは、PTには、ある程度身だしなみが乱れても良いのではないかと考えているが、PTSには、身だしなみを整える必要があると考えており、PTとPTSを区別した見方をしていると思われた.身だしなみに関して患者、看護スタッフ、リハスタッフの意識の差を認識することが、良好な人間関係の形成に役立てると考える.また、年齢や性別の影響が考えられるので、今後は対象数を増やしそれらの要因を調整した分析が必要と考える.

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