- 著者
-
藤田 英二
中村 勇
濱田 初幸
安河内 春彦
- 出版者
- 日本武道学会
- 雑誌
- 武道学研究 (ISSN:02879700)
- 巻号頁・発行日
- vol.42, no.2, pp.2_11-2_17, 2009
ジュニア期の選手達の身体的形態や運動能力は,個々の生物学的な成熟度と関連して把握することが求められる。生物学的な成熟度を知る物差しとして,骨年齢の測定は最も信頼されている手法である。特に柔道において技術レベルが同じである場合には,体が大きく力が強い選手が有利であるため,タレント発掘と育成には骨年齢を測定し,生物学的な成熟度を把握する意義は大きい。しかし,従来の骨年齢評価にはX線画像が必要であったため,すべてのタレント候補達に実施することは困難であった。そこで,近年開発された超音波式骨年齢測定装置を用いてF県柔道協会による強化育成事業の「F柔道クラブ」に所属する小学生柔道選手48名を対象に,形態および体力測定と超音波式骨年齢測定装置を用いた骨年齢評価を実施した。<BR> 結果,ローレル指数において半数近くが「太りぎみ」以上の判定をうけ,肥満傾向にあった。ローレル指数は体重よりも体脂肪率と高い相関関係を示しており,今後の身体特性の管理に有効な指標であると思われた。骨年齢はほぼ全員が暦年齢よりも促進しており,早熟傾向を示した。強化選手と育成選手との間には骨年齢の差は認められなかった。骨年齢は女子において背筋力と垂直跳び跳躍高に相関関係が認められた。<BR>骨年齢測定は,個々の能力や身体的特徴を的確に捉えることができ,発育発達に応じたトレーニング処方に重要であると考えられた。