- 著者
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篠原 秀一
- 出版者
- 日本地理学会
- 雑誌
- 地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.11, pp.792-811, 1989
- 被引用文献数
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銚子における漁港漁業の発展を,資源基盤,水揚漁船の集中と近代化,漁港整備の各要素から検討した.銚子における漁獲物の水揚地である銚子漁港では, 1973年から1984年まで,マイワシ,マサバ,サンマといった多獲性大衆魚を主要魚種として水揚量が増加した.この水揚量の増加は,回遊魚であるマイワシ、マサバなどを漁獲する近海旋網漁船が全国各地から銚子沖の漁場に集中し,その大量の漁獲物を銚子漁港に水揚げしてきたためである.近海旋網漁船はその近代化により大量漁獲を可能にした.とくに,漁船の大型化,新装備の導入を伴う1そうまき操業の一般化,カラースキャンニングソナーと気象衛星NOAA情報受画装置を中心とする主要装備の体系化は,近海旋網漁船の生産性を向上させた.銚子漁港の本格的整備は,特定第3種漁港に指定された1960年以後で,水揚漁船の安全と大型化を保障し,近海旋網漁船によるマサバとマイワシの水揚量増加に対応していた.