著者
西郷 達雄 中島 俊 小川 さやか 田山 淳
出版者
The Japanese Society of Behavioral Medicine
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.3-10, 2013

本研究では、東日本大震災における災害医療支援者の派遣後約1.5ヶ月時点でのPTSD有症状者の把握、および侵入的想起症状に対するコントロール可能性と外傷後ストレス症状との関連について検討することを目的とした。本研究の仮説は、侵入的想起症状に対するコントロール可能性が高い者は外傷後ストレス症状が低く、逆にコントロール可能性が低い者は外傷後ストレス症状が高いとした。東日本大震災に伴い長崎大学から各県に派遣された災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team: DMAT)、救援物資輸送支援、被ばく医療支援、地域医療支援に従事した災害医療支援者54名に対して、フェイスシートを含む、外傷後ストレス症状、および侵入的想起症状に対するコントロール可能性の測定を実施した。派遣後約1.5ヵ月時点でのPTSD有症状者は0名であった。侵入的想起症状に対するコントロール可能性と外傷後ストレス症状との相関分析の結果、コントロール可能性と外傷後ストレス症状を測定するIES-R-J合計得点、およびIES-R-Jの下位因子である侵入的想起症状得点、過覚醒症状得点との間に有意な負の相関が認められた。侵入的想起症状に対するコントロール可能性の高低による外傷後ストレス症状の差を検討したところ、コントロール可能性低群では、コントロール可能性高群と比べてIES-R-J合計得点および、侵入的想起症状得点、過覚醒症状得点が有意に高かった。本研究の結果から、侵入的想起症状に対するコントロール可能性が外傷性ストレス症状に対して抑制的に働くことが示唆された。

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