著者
田中 勝則 田山 淳 有村 達之
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.334-342, 2013-04-01

本研究では大学生における身体醜形懸念とアレキシサイミアの関連について検討することを目的とした.身体醜形障害およびアレキシサイミアのいずれにもネガティブ感情が関連していることから,身体醜形懸念,アレキシサイミア,ネガティブ感情についての関連を検討した.大学生328名(男性187名,女性141名)から得られたデータを分析した結果,ネガティブ感情を統制したうえでも,身体醜形懸念の下位因子はいずれもアレキシサイミアの下位因子である感情同定困難因子と有意な正の相関を示した.また,身体醜形懸念の下位因子の一つである容姿への否定的評価因子は,同様にネガティブ感情を統制した際に,アレキシサイミアの下位因子である感情伝達困難因子とも有意な正の相関を認めた.アレキシサイミアの外的志向因子は身体醜形懸念とは有意な相関を認めなかった.重回帰分析の結果,感情同定困難因子は身体醜形懸念のいずれの下位因子とも有意な正の関連を示した.一方,感情伝達困難因子および外的志向因子は身体醜形懸念のいずれの下位因子とも有意な関連を示さなかった.以上の結果より,アレキシサイミアの特徴の一つである感情同定困難が身体醜形懸念と正の関連を有している可能性が示唆された.
著者
西郷 達雄 中島 俊 小川 さやか 田山 淳
出版者
The Japanese Society of Behavioral Medicine
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.3-10, 2013

本研究では、東日本大震災における災害医療支援者の派遣後約1.5ヶ月時点でのPTSD有症状者の把握、および侵入的想起症状に対するコントロール可能性と外傷後ストレス症状との関連について検討することを目的とした。本研究の仮説は、侵入的想起症状に対するコントロール可能性が高い者は外傷後ストレス症状が低く、逆にコントロール可能性が低い者は外傷後ストレス症状が高いとした。東日本大震災に伴い長崎大学から各県に派遣された災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team: DMAT)、救援物資輸送支援、被ばく医療支援、地域医療支援に従事した災害医療支援者54名に対して、フェイスシートを含む、外傷後ストレス症状、および侵入的想起症状に対するコントロール可能性の測定を実施した。派遣後約1.5ヵ月時点でのPTSD有症状者は0名であった。侵入的想起症状に対するコントロール可能性と外傷後ストレス症状との相関分析の結果、コントロール可能性と外傷後ストレス症状を測定するIES-R-J合計得点、およびIES-R-Jの下位因子である侵入的想起症状得点、過覚醒症状得点との間に有意な負の相関が認められた。侵入的想起症状に対するコントロール可能性の高低による外傷後ストレス症状の差を検討したところ、コントロール可能性低群では、コントロール可能性高群と比べてIES-R-J合計得点および、侵入的想起症状得点、過覚醒症状得点が有意に高かった。本研究の結果から、侵入的想起症状に対するコントロール可能性が外傷性ストレス症状に対して抑制的に働くことが示唆された。
著者
西郷 達雄 中島 俊 小川 さやか 田山 淳
出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.3-10, 2013 (Released:2014-07-03)
参考文献数
40
被引用文献数
5

本研究では、東日本大震災における災害医療支援者の派遣後約1.5ヶ月時点でのPTSD有症状者の把握、および侵入的想起症状に対するコントロール可能性と外傷後ストレス症状との関連について検討することを目的とした。本研究の仮説は、侵入的想起症状に対するコントロール可能性が高い者は外傷後ストレス症状が低く、逆にコントロール可能性が低い者は外傷後ストレス症状が高いとした。東日本大震災に伴い長崎大学から各県に派遣された災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team: DMAT)、救援物資輸送支援、被ばく医療支援、地域医療支援に従事した災害医療支援者54名に対して、フェイスシートを含む、外傷後ストレス症状、および侵入的想起症状に対するコントロール可能性の測定を実施した。派遣後約1.5ヵ月時点でのPTSD有症状者は0名であった。侵入的想起症状に対するコントロール可能性と外傷後ストレス症状との相関分析の結果、コントロール可能性と外傷後ストレス症状を測定するIES-R-J合計得点、およびIES-R-Jの下位因子である侵入的想起症状得点、過覚醒症状得点との間に有意な負の相関が認められた。侵入的想起症状に対するコントロール可能性の高低による外傷後ストレス症状の差を検討したところ、コントロール可能性低群では、コントロール可能性高群と比べてIES-R-J合計得点および、侵入的想起症状得点、過覚醒症状得点が有意に高かった。本研究の結果から、侵入的想起症状に対するコントロール可能性が外傷性ストレス症状に対して抑制的に働くことが示唆された。
著者
田山 淳
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.245-253, 2011-03-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
20
被引用文献数
2

本研究では若年者における携帯電話依存に着目し,心理的ストレス反応および登校行動との関連を検討することを目的とした.657名の高校生を対象に携帯電話依存とストレス反応についての質問紙調査を実施した.結果として,高校生の携帯電話依存は,ストレス反応を増悪させることが明らかになった.また,携帯電話依存によって増悪したストレス反応は,携帯電話依存を増強することも明らかになった.さらに,携帯電話依存度の高い高校生においては,登校行動不良が引き起こされることが示唆された.携帯電話は,若年者においても利用価値の高いツールの1つになっている.しかしながら,携帯電話依存は,さまざまな心理・行動レベルの異常を誘発する可能性がある.
著者
冨家 直明 田山 淳 小川 豊太 村椿 智彦
出版者
北海道医療大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では成人の肥満に対する認知行動療法の効果をシステマティックレビューを用いて明らかにすることである。レビューのデータベースにはThe Cochrane Library、MEDLINE、PsycINFO、CINAHLが活用され、認知行動療法、リラクセーション法を用いて体重をアウトカムにした論文が調査の対象になった。メタアナリシスが実施され、11研究が対象になった。認知行動療法は有意に体重を減少させた。リラクセーション法に関しては十分な研究数が集まらなかった。認知行動療法は成人肥満の体重減少にともに効果的であるといえた。
著者
田山 淳
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.245-253, 2011
参考文献数
20
被引用文献数
2

本研究では若年者における携帯電話依存に着目し,心理的ストレス反応および登校行動との関連を検討することを目的とした.657名の高校生を対象に携帯電話依存とストレス反応についての質問紙調査を実施した.結果として,高校生の携帯電話依存は,ストレス反応を増悪させることが明らかになった.また,携帯電話依存によって増悪したストレス反応は,携帯電話依存を増強することも明らかになった.さらに,携帯電話依存度の高い高校生においては,登校行動不良が引き起こされることが示唆された.携帯電話は,若年者においても利用価値の高いツールの1つになっている.しかしながら,携帯電話依存は,さまざまな心理・行動レベルの異常を誘発する可能性がある.
著者
西浦 和樹 田山 淳 沖林 洋平 池田 和浩 澤邉 裕子
出版者
宮城学院女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、創造的問題解決における心理メカニズム解明を目的として研究を実施した。本目的を達成するために、ブレインストーミング法(BS法)を代表とする集団的思考の方法を気軽に体験し、学習することのできるカードゲームを開発し、ストレス軽減と認知的対処方略を理解することのできる心理データの取得を行った。BS法がアイデア創出だけでなく、抑うつ感の軽減を促進すること、制御欲求の高い被験者は状況をより改善するように努めていることを確認した。
著者
田山 淳
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.1033-1041, 2008-12-01

近年,日本の中学校における長期欠席児童数は,10万人を超える事態になっている.不登校の改善や予防的措置を行うためには,彼らのパーソナリティをより詳しく知る必要がある.本研究では,登校行動とパーソナリティの関連を探るため,中学生37名(男子20名,女子17名)に対して,標準化された2つの質問紙とともに,簡便な投影法であるバウムテストを実施した.質問紙の結果から,登校行動不良児は,学級での居場所がなく,進路意識が低いことがわかった.バウムテストの結果では,登校行動不良児が描いたバウムは,筆圧が弱く,樹冠が角張っていることが明らかになった.このような不登校傾向児のバウムテストの特徴は,抑うつ感,不適応感,保守傾向,神経過敏などを示す可能性が示唆されている.結論として,中学生における不登校傾向とバウムテストのいくつかの特徴との関連が明らかになった.