著者
宮崎 正光 西畑 美幸 村田 伸
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.E0378, 2007

【背景と目的】老人保健施設でのリスク管理において、最も重要な事項の一つに転倒による外傷や骨折の予防がある。認知症を有する高齢者は、立ち上がりや立位保持が不安定であるにもかかわらず、車椅子から不用意に立ち上がり、転倒してしまうケースも少なくない。そこで我々は、低コストで作製可能な、立ち上がると音が鳴るクッション"お知らせクッション"を制作したので報告する。<BR>【お知らせクッションの作製手順】作製に必要な材料は、窓アラーム(約90dB)、CARワックススポンジ2個、クッションカバー、クッション、接着用材(グルーガン、接着スプレーなど)とスイッチをクッション外部より操作するための細い針金を準備する。作製は、まずクッションのアラーム部分を入れる場所(中央やや後部)にCARワックススポンジが入る程度の穴を空ける。窓アラームは分解し、スイッチ部分が扱えるようにCARワックススポンジの中に入れこむ。スイッチを外部から操作できるように、スイッチ部分に左右から針金を引っ掛けグルーガンなどで固定する。上から順に「切り取ったクッション材」、「磁石」、「スポンジ」、「窓アラームが入っているスポンジ」を、磁石と窓アラームの距離やクッション材の厚さを調節しながらクッション用のスプレーのりで接着する(磁石は、アラームが反応する部分の上部に取り付ける)。接着したものをクッションの穴の部分に入れ込む。クッションカバーに針金を通すための穴をあけ、クッションをカバーに入れる。最後にクッションカバーから針金を外へ出し、スイッチを外部から扱えるようにして、ON.OFFの標示をつけて完成となる。<BR>【考察】認知症を有する障害高齢者に対して、車椅子から不用意に立ち上がることで起こる転倒を防止するために、立ち上がると音で知らせてくれるクッション、"お知らせクッション"を制作した。現在市販されている車椅子に敷くタイプのセンサーは、5万円程度と高額である。しかし、我々が制作したクッションは、その主たる材料を100円ショップで購入でき、クッション費用を考慮しても1,500円程度と安価で作製が可能である。また、感度に関しても手作りであるため調節できるというメリットもある。転倒リスクの高い施設利用者に対してお知らせクッションを使用したところ、使用期間中の転倒はなかった。また、介護職員に対して、クッションの使用に関するアンケート調査を行った結果、介助量の軽減に繋がったとの回答が得られた。学術大会当日は、"お知らせクッション"の作製方法を中心に、使用経験(事例紹介)やアンケート調査の結果についても報告する。<BR>

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こんな論文どうですか? 安価に作製できる転倒予防クッションの紹介(宮崎 正光ほか),2007 https://t.co/3z5TrhkgJS 【背景と目的】老人保健施設でのリスク管理において、最も重要な事項の一つに転倒による外傷や骨折の予防がある。…

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