著者
岡本 洋子 吉田 惠子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】日本のだしを中心とした薄味の和食には,健康維持とおいしさが両立できる世界でも希な食事体系である。さらに,和風だしを用いた食事を実践することは,生活習慣病のリスクを低減する一要因となると考えられている。そこで,本研究では和風だしの代表的素材である,かつお節とコンブを用いただしについて好ましく受容できることが重要と考え,それらの天然素材だしならびに風味調味料だしを用いた調理食品を調製し,識別ならびに嗜好性を調べることを目的とした。【方法】天然だしおよび風味だしを用いた調理食品の識別と嗜好性については,官能評価法(3点識別試験法,2点嗜好試験法,3点嗜好試験法)によって行った。評価者は年齢18~20歳の健康な女子学生27~32名である。試料として,だしを用いた調理食品7種(主食:醤油味飯,汁かけうどん,主菜・副菜:高野豆腐煮物,だし巻卵,サトイモの煮物,ゴボウの煮物,汁物:味噌汁)を調製した。データは,有意差の検定(2項検定)により解析した。【結果】① 7種のだしを用いた調理食品では,天然だし食品と風味だし食品の「おいしさ」が異なることを有意に識別できた(p<0.01, p<0.05 )。 ② 7種のだしを用いた調理食品では,天然だし食品と風味だし食品の嗜好性に有意差はみられなかった。しかしながら,7種のうち6種において,天然だし食品と比べ,風味だし食品を好む傾向がみられた。③ おいしさを評価する際の背景要因として食体験があげられるが,今回は食経験と官能評価の関係については明らかにできなかった。本研究の評価者は,これまでに,天然素材のだしではなく,日常的に風味調味料だしを調理のときに使用していたのかもしれない。

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