著者
岡本 洋子 多山 賢二 古田 歩 吉田 惠子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.229-235, 2018 (Released:2018-08-17)
参考文献数
14

ミラクルフルーツは味変革物質として知られている。健康な女子学生23~27名を評価者に選び,甘味,酸味,塩味,苦味,うま味を含む代表的な食品12種類(グラニュー糖,グレープフルーツ,レモン,穀物酢,食塩,コーヒー,かつお削り節等)と日本宮崎県産ミラクルフルーツを試料として官能評価を行った。食品→ミラクルフルーツ→食品という順序で味わい,両極7点評点法を用いて呈味強度やおいしさを調べ,対応のあるサンプルのt検定を行った。酸味食品5試料では,味わった後は,味わう前に比べ,酸味強度の低下および甘味強度の上昇とともに,苦味強度の低下およびうま味強度の上昇が確認された(いずれもp<0.01)。さらに,酸味を含まない食品においても甘味強度のさらなる上昇を認めた (p<0.01)。酸味食品8試料では,「おいしさ評価」が上昇したが,甘味・塩味・苦味・うま味食品では,「おいしさ評価」には変化がみられなかった。ミラクルフルーツを味わう前と後では,我々の感じる甘味・酸味強度とともに,苦味・うま味強度にも変化がみられた。
著者
吉田 惠子 四十九院 成子 熊田 薫 岡本 洋子 伊部 さちえ 関根 正裕
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.61, 2007

<BR><B>【目的】</B><BR> 昨年度の本学会において、ゆで大豆、蒸し大豆、圧力鍋で加熱した大豆についてその特徴を比較し、各豆に甘味や硬さに特徴があることを報告した。昨年は水でのゆで豆であったが、大豆を速く軟らかくゆでるために食塩や重曹を添加する方法が実際に行われている。今回は水、食塩添加水、重曹添加水、圧力鍋でのゆで豆を作成し比較したところ、硬さや粘りに違いが認められた。そこで各ゆで豆の相違を、組織、物性の面から検討することを目的とした。<BR><B>【方法】</B><BR> 大豆は丹波錦白大豆を用いた。電子顕微鏡写真のサンプルは以下のように調製した。20gずつ、5倍量の水、1%食塩水、0.3%重曹水中で室温(24℃)で15時間浸漬後、200mlのビーカーに入れ、湯煎鍋でやわらかくなるまで加熱した。水中で加熱した豆は2時間、1%食塩水、0.3%重曹水で加熱した豆は1時間加熱した。圧力鍋加熱は同様に水浸漬後、オートクレーブを用い、112℃15分加熱した。各豆について、透過型電子顕微鏡で撮影した。物性試験の豆は、上記の方法で経時的なサンプルを調製した。静的粘弾性測定として、レオナ-RE33005(山電)を、動的粘弾性測定として、MG-Rheoアナライザー(アトー)を用いて測定した。<BR><B>【結果】</B><BR> 電子顕微鏡写真では、水加熱豆は、細胞壁、プロテインボディーともその形態を保っていたが、食塩添加豆では、プロテインボディーに変化が、重曹添加豆、圧力鍋加熱豆では、プロテインボディー、細胞壁に変化が認められた。物性試験では静的、動的試験での差がみられた。また加熱方法によるゆで豆の粘弾性の差も明らかであり、組織と物性の相関も示唆された。
著者
荒田 玲子 渡辺 敦子 大貫 愛美 金谷 由希 柳生 純代 冨岡 広平 吉田 惠子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.23, pp.88, 2011

【〈B〉目的〈/B〉】平成21年12月に日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学:行事食」というテーマで行われた茨城県の調査をまとめ、茨城県の特徴を明らかにすることを目的とする。年代別の検討を行うために、回答者を10~20歳代、30~50歳代、60歳以上の3区分にわけ検討した。まず、年中行事の認知度、経験を調べた。調査項目のうち、年中行事の12項目を取り上げ、特に正月料理について詳細に検討した。〈BR〉【〈B〉方法〈/B〉】茨城県の調査員は3名であり、県北、県央、県南に所属する。しかし各大学の学生はこの3区分に分けることは不可能であるので、3地域を合わせて集計し検討した。10~20歳代は241名、30~50歳代は154名、60歳以上は70名であった。質問項目は、その行事の認知、経験、その行事で食べるものの喫食経験、喫食状況、調理状況を中心に解析した。〈BR〉【〈B〉結果と考察〈/B〉】年中行事の認知度、経験について検討したところ、「重陽・菊の節句」が各年代ともに低かった。正月料理の屠蘇は20歳代の80%が、30~50歳代の約半数が「飲んだことがない」という結果であった。黒豆、きんとんは若い年代は「時々食べる」という人の割合が高かった。口取りである「黒豆、数の子、きんとん、伊達巻」については、30歳代から50歳代は購入する人の割合が高かった。「田作り、昆布巻き」は30歳代以上でも購入する人数が多かったが、「煮しめ、なます」は家庭で作るという人が多かった。魚料理、肉料理については若い年代の回答率が高かった。我が国の最大の行事食である「正月料理」も若い年代では喫食経験が低いものも多くあり、年代が高くても、「家庭で作る」より「購入する」ものがあることが明らかとなった。
著者
岡本 洋子 吉田 惠子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b>目 的</b> 我々の健康維持や生活習慣病を予防するうえで、塩味や甘味の低減を考慮した食べ物の摂取が望まれる。本研究では、塩味と甘味の感じ方について、呈味量を軽減したうえで満足感を享受できる方法を明らかにすることを目的として行った。<br><b>方 法</b> 健康な女子学生27~34名を評価者として、「塩味均一試料」と「塩味外側試料」について、0.9%,0.6%,0.3%食塩濃度の塩むすびを調製して官能評価を行った。甘味類では、「甘味内側試料」と「甘味外側試料」を調製した。塩・甘味強度と嗜好性を、2点識別・嗜好試験法によって調べた。さらにカテゴリー尺度による評点法を用いて呈味強度と嗜好度を調べ、対応のあるサンプルのT検定を行って解析した。<br><b>結 果</b> 塩むすびにおいて、同一塩分濃度の場合には、「塩味均一」に比べ「塩味外側」が、有意に塩味が強いことが示された(<i>p</i><0.01)。さらに塩分濃度を2/3あるいは1/3に減じた場合であっても、「塩味均一」に比べ「塩味外側」が、有意に塩味が強いことが示された(<i>p</i><0.05)。塩を均一に混ぜる場合と外側にまぶす場合では、嗜好性については、有意差はみられなかった。同一甘味濃度では、甘味を試料の内側に入れるより、外側に甘味を添加した方が、有意に甘味が強いことが示された(<i>p</i><0.05)。6種の甘味試料のうち、5種の甘味試料について、「内側にのみ甘味」と「外側にのみ甘味」の試料間の嗜好性に有意差はみられなかった。食品に塩味や甘味を局在させた方が、塩味や甘味に対する満足感が大きいことが示唆された。
著者
岡本 洋子 吉田 惠子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.97-102, 2014

味の感じ方に及ぼす温度の影響を調べることを目的に,甘味料および市販甘味飲料を用いて官能評価法によって甘味強度を測定した。甘味料として,スクロース,D-グルコース,D-フルクトース,D-マルトース,エリスリトール,キシリトール,D-ソルビトール,マルチトールの8種類,市販甘味飲料としては11種類を用いた。実験参加者は年齢18~20歳の健康な女子学生27名である。検査の液温は,7&deg;C,25&deg;C(基準),43&deg;Cとした。8種甘味料のうちD-フルクトースおよびキシリトールについては,温度による甘味強度の変化がみられたが,それ以外の甘味料は温度による呈味性の変化はみられなかった。一方,市販甘味飲料については,7&deg;Cでは25&deg;Cに比べ甘味強度が弱く,43&deg;Cでは25&deg;Cに比べ甘味強度が強い飲料が多かった。また,甘味料群では,甘味強度について温度要因の統計的な主効果に有意性はなかったが,市販甘味飲料群では,その効果に有意性がみられた。市販飲料に含まれる甘味料以外の成分について,呈味性に及ぼす影響を検討する必要が示唆された。
著者
吉田 惠子
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
高崎健康福祉大学紀要 = Bulletin of Takasaki University of Health and Welfare (ISSN:13472259)
巻号頁・発行日
no.16, pp.91-105, 2017-03

音楽教育において,替え歌・パロディを表現活動としてどのように捉えるか,音楽教育における表現の諸問題を,以下の4点から論じたものである.1.日本における替え歌・パロディの歴史,2.昨今の教育現場における替え歌事件,3.パロディと表現の自由をめぐって-判例におけるパロディの解釈とフェアユース,4.文化としての替え歌・パロディ研究論文
著者
岡本 洋子 吉田 惠子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】日本のだしを中心とした薄味の和食には,健康維持とおいしさが両立できる世界でも希な食事体系である。さらに,和風だしを用いた食事を実践することは,生活習慣病のリスクを低減する一要因となると考えられている。そこで,本研究では和風だしの代表的素材である,かつお節とコンブを用いただしについて好ましく受容できることが重要と考え,それらの天然素材だしならびに風味調味料だしを用いた調理食品を調製し,識別ならびに嗜好性を調べることを目的とした。【方法】天然だしおよび風味だしを用いた調理食品の識別と嗜好性については,官能評価法(3点識別試験法,2点嗜好試験法,3点嗜好試験法)によって行った。評価者は年齢18~20歳の健康な女子学生27~32名である。試料として,だしを用いた調理食品7種(主食:醤油味飯,汁かけうどん,主菜・副菜:高野豆腐煮物,だし巻卵,サトイモの煮物,ゴボウの煮物,汁物:味噌汁)を調製した。データは,有意差の検定(2項検定)により解析した。【結果】① 7種のだしを用いた調理食品では,天然だし食品と風味だし食品の「おいしさ」が異なることを有意に識別できた(p<0.01, p<0.05 )。 ② 7種のだしを用いた調理食品では,天然だし食品と風味だし食品の嗜好性に有意差はみられなかった。しかしながら,7種のうち6種において,天然だし食品と比べ,風味だし食品を好む傾向がみられた。③ おいしさを評価する際の背景要因として食体験があげられるが,今回は食経験と官能評価の関係については明らかにできなかった。本研究の評価者は,これまでに,天然素材のだしではなく,日常的に風味調味料だしを調理のときに使用していたのかもしれない。