著者
田中 延亮 南光 一樹 加藤 弘亮 平田 晶子 恩田 裕一
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.124, 2013

林地における豪雨時の表面流発生プロセスを理解する上で,豪雨時の林内雨量の空間分布の把握は重要であるが,既往研究では,その点について十分に調べられていない.我々は,愛知県内のヒノキ人工林で2010年7月に発生した豪雨イベントを対象にして,同林内17地点において30分間隔で観測された林内雨量の空間分布を調べた.具体的には,上記イベント中の豪雨前(最大30分間降雨強度9.0 mm),豪雨中(同57.0 mm),豪雨後(同5.5 mm)の各時間帯について,林内雨量の空間分布を調べた.豪雨前の時間帯から起算した各地点の積算林内雨量の変動係数は,豪雨のタイミングでほとんど変化せず,林内雨量の空間分布の変動の度合いについては,豪雨の影響をあまり受けないことがわかった.各地点の林内雨量の順位が時間帯の間で相関があるかどうかについて, Spearmanの順位相関係数(r)を用いて調べたところ,豪雨前と後の時間帯は高い相関(r=0.92)を示したが,両時間帯ともに,豪雨中とは比較的低い相関(r=0.79,0.67)を示した.これは,豪雨時には,通常の降雨時とは異なる地点に林内雨が集中することを示唆する.

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