著者
玉野 和志
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.224-241, 2015
被引用文献数
2

<p>本稿では地方自治体の政策形成に対して, 何らかの関わりをもってきた村落, 都市, 地域に関する社会学研究者の経験を検討することで, 政策形成に関与しようとする社会学者がふまえるべき教訓を導き出すことを目的とする. ここでは, 戦後農地改革の評価を行った福武農村社会学から地域開発政策への批判に及んだ地域社会学への展開, 自治省のコミュニティ施策に深く関与した都市社会学者の経験, そして近年の東日本大震災に関する日本学術会議社会学委員会の提言を取り上げる.<br>そこから, 社会学者は政策の事後評価に関する地道な調査研究を蓄積することはもとより, 市民がより納得できると同時に, 政策の実施者である政府の意向をもふまえて, できるかぎりのことを模索することが求められることが教訓として引き出される. そのうえで, 政策形成に社会学が独自に貢献できるのは, 時間的・空間的に広がる人と人とのつながりに根ざした当時者の主観的な思いによって測られる, 歴史的・文化的な要因を数値などの客観的な表現で示すことであり, その結果, 人々がより納得できる実効ある政策の実現を可能にし, 民主主義の実質化に貢献することであることを明らかにする.</p>

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (3 users, 3 posts, 1 favorites)

#社会学評論 地方自治体の政策形成と社会学者の役割 (特集号 社会学は政策形成にいかに貢献しうるか) https://t.co/n8ZruxehEr

収集済み URL リスト