著者
中西 陽 石川 信一 神尾 陽子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.544-554, 2016
被引用文献数
7

本研究では, 中学校の通常学級集団で実施する社会的スキル訓練(Social Skills Training: SST)が, 自閉スペクトラム症的特性の高い生徒の社会的スキルと学校適応感の向上に効果があるかどうかについて検討した。自閉スペクトラム症的特性の程度は, 対人応答性尺度(Social Responsiveness Scale: SRS)を用いて評価された。SST介入群は, 自閉スペクトラム症的特性の高い生徒9名(Higher levels of autistic-like traits: H-ALT), 低い生徒54名(Lower levels of autistic-like traits: L-ALT)からなり, 全3回のSSTプログラムに参加した。その間, 統制群(H-ALT5名, L-ALT51名)には特別な介入は行わなかった。その結果, H-ALTの生徒に関しては, 統制群では肯定的な変化が示されなかったのに対し, 介入群では有意な社会的スキルの向上と身体的ストレス反応の低下が示された。L-ALTの生徒に対しては, 統制群と比較して介入後に学校適応感の向上が示された。したがって, 本研究でのSSTは生徒の自閉スペクトラム症的特性の水準に応じて異なる効果が期待できる可能性が示された。

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