著者
富井 奈菜実 大西 貴子 中西 陽 小松 愛 根來 秀樹
出版者
奈良教育大学
雑誌
奈良教育大学紀要. 人文・社会科学 = Bulletin of Nara University of Education. Cultural and Social Science (ISSN:05472393)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.1-14, 2020-12-25

In this paper, in order to clarify importance of activities based on the interests of children with Autistic Spectrum Disorders, we examine the program and activity of “The Train GEEK Club at Nara University of Education”, which is composed of ASD children. The train GEEK Club program includes many different activities which are very unique. In the main program organized in accordance with their interests, the participants plan their activities, prepare and make their own presentations, by talking and sharing the knowledge related to trains and railways which are positioned as their “excessive interest”. It is found that the program has some significances, such as to pursue to their hobbies taking their advantage of knowledge of train, to get a sense of accomplishment through this activity, and to make close friends are able to talk and share their common hobbies. It is suggested that the activity is working for support of interpersonal relations and their leisure from the point of developmental perspective.
著者
中西 陽 石川 信一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.11-21, 2021-01-31 (Released:2021-05-18)
参考文献数
33

本研究の目的は、小中学生の自閉症的特性と抑うつ症状の関連およびその媒介要因としてソーシャルスキルと友人との関係性を仮定したモデルを検証することであった。対象者は、小学4年生から中学3年生までの子ども(392名)とその母親であった。自閉症的特性とソーシャルスキルは母親の評定、友人との関係性と抑うつ症状は対象児の自己評定により測定した。構造方程式モデリングによる多母集団同時分析の結果、小学生男子、中学生男子、中学生女子においては、自閉症的特性のうち社会性の問題が、ソーシャルスキル、友人との関係性を媒介して抑うつ症状と関連することが示された。小学生女子においては、ソーシャルスキルと友人との関係性に関連が見られなかった。本研究は、自閉症的特性のうち社会性の問題が強い子どもの抑うつの予防において、ソーシャルスキル介入が重要であることを示唆した。
著者
長坂 行雄 土谷 美知子 坂口 才 中西 陽祐 味水 瞳 森川 昇 一瀬 増太郎 上田 桂子
出版者
洛和会ヘルスケアシステム
雑誌
洛和会病院医学雑誌 (ISSN:13411845)
巻号頁・発行日
no.29, pp.1-7, 2018-03-31

聴診器発明から200年になる。肺聴診は病態を即時に判断できる技術である。肺音は呼吸音(肺胞音、気管支音)と副雑音(ラ音、それ以外)に分けられる。肺胞音が聴かれる肺の大半で呼気がはっきり聴こえれば気管支音化である。軽度の気道狭窄や肺の硬化の可能性がある。ラ音は連続音のウィーズ、ロンカイ、ランブルと不連続音のクラックルに分けられる。連続音は気道狭窄で聴かれ胸部X線の異常を伴わない。不連続音は肺炎、間質性肺炎などの肺胞病変で聴かれ胸部異常陰影を認めることが多い。このような所見は聴診器をしっかりと当てて、患者に少し大きい息をさせることで得られる。前胸部と背部でそれぞれ4ヶ所聴診するのが基本であるが、各部位でよく聴かれる音の特徴を理解すれば聴き逃しなく、正確な所見が得られる。(著者抄録)
著者
廣瀬 規代美 中西 陽子 神宮 彩子 二渡 玉江
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.771-779, 2017 (Released:2017-12-11)
参考文献数
19

【目的】緩和ケア病棟に初めて従事する看護師が,緩和ケアの実践を通して捉える問題状況を面接調査により明らかにし今後の教育支援の示唆を得る.【方法】看護師4名を対象に半構造化面接を計3回実施し,Krippendorff Kの内容分析を参考に分析した.【結果】病棟開設後の問題状況は[緩和ケアにおける理解不足の自覚と対応に対する模索][緩和ケアにおける一般病棟の経験知の活用可能性と相違に対する不安]等,10カ月後では[命の期限と向き合う傾聴の重みと傾聴技術の限界の自覚][ケア方針の相違に対する困難さとジレンマ]等,1年半後では[患者の意思確認不足によるケアの判断の困難さ][患者・家族との関係形成の重要性の自覚]等であった.【結論】初めて緩和ケア病棟に従事する看護師の教育支援は,初期の傾聴技術の強化に加え,対人援助や生命倫理の知識の確認および事例検討を組み合わせ,段階的かつ継続的な実施が必要である.
著者
中西 陽 石川 信一 神尾 陽子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.544-554, 2016
被引用文献数
7

本研究では, 中学校の通常学級集団で実施する社会的スキル訓練(Social Skills Training: SST)が, 自閉スペクトラム症的特性の高い生徒の社会的スキルと学校適応感の向上に効果があるかどうかについて検討した。自閉スペクトラム症的特性の程度は, 対人応答性尺度(Social Responsiveness Scale: SRS)を用いて評価された。SST介入群は, 自閉スペクトラム症的特性の高い生徒9名(Higher levels of autistic-like traits: H-ALT), 低い生徒54名(Lower levels of autistic-like traits: L-ALT)からなり, 全3回のSSTプログラムに参加した。その間, 統制群(H-ALT5名, L-ALT51名)には特別な介入は行わなかった。その結果, H-ALTの生徒に関しては, 統制群では肯定的な変化が示されなかったのに対し, 介入群では有意な社会的スキルの向上と身体的ストレス反応の低下が示された。L-ALTの生徒に対しては, 統制群と比較して介入後に学校適応感の向上が示された。したがって, 本研究でのSSTは生徒の自閉スペクトラム症的特性の水準に応じて異なる効果が期待できる可能性が示された。