- 著者
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戸江 哲理
- 出版者
- 家族問題研究学会
- 雑誌
- 家族研究年報 (ISSN:02897415)
- 巻号頁・発行日
- vol.38, pp.109-128, 2013
本稿では、子育てひろばにおける利用者(母親)とスタッフのごはんをめぐる発言とやりとりを、会話分析の立場から検討する。分析の焦点は、これらの人々自身がごはん(作り)を公私区分上に位置づける様子を解明することにある。母親は子育てひろばを立ち去る間際に、ごはんについて発言することがある。この発言はひとり言として発されるか、自分の会話能力がない子どもに宛てられる。このことから、母親がごはん(作り)のことを家族のメンバー内(私的領域)に留めるべきだと捉えていることが窺える。他の人たちはこの発言に対して反応することがあり、それによってごはん(作り)は家族以外のこの場にいる人たちが関与する領域(公的領域)へと移動する。反応にもいくつかのバリエーションがあり、それぞれ公共化のレベルが違う。そして、この反応のバリエーションは、ごはんの作り手としての立場に対する反応する人の注意の払いかたによって生み出される。