著者
齋藤 大地 五十嵐 大貴
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】昨今,重篤な症状や高医療依存の小児が増え,これまで施設・病院から外来,入院の形態で提供されることが殆どであった小児のリハビリテーション(以下リハ)は,在宅にも拡がりをみせている。医療及び発達,訪問リハを複合した高い専門性を要求される在宅小児リハは,成人の在宅リハを転用したり,施設・病院で提供している小児リハを家庭に持ち込むだけでは,その役割は十分に果たせない。そこで我々は,以下を理念として小児系在宅理学療法研究会を平成22年7月31日に発足した。・小児が生活し育つ家庭において展開される理学療法及びリハを考え,学び合う場を作る。・小児,在宅医療に関連する職種(在宅・施設のリハ職,教職,福祉職,工房技師等)が顔を合わせて話す機会を作り,機能的なネットワークの構築を行って,在宅で要求される問題解決を共有する。・会員相互の自己研鑽及び支援による小児系在宅セラピストの育成を行う。発足から平成27年3月までの5年間,計10回の活動についての報告を通じて,草創期の稀少な分野をどう作り育てて行くかを考察した。【方法】活動としては,年2回のセミナーを開催して,在宅小児の独自性,特殊性を研究すると共に参加者相互の情報交換を行う。運営は有志の理学療法士が行い,基本的には在宅リハの関連職が参加するが,職種の制限は特に設けない。セミナー開催時にはメール登録した参加希望者に日時,場所,企画等を配信し周知する。セミナー当日は参加者にアンケート調査を行い,企画への感想や意見を求め以降の企画・運営に反映させた。また,終了後は使用した資料及びアンケート結果などを付加した報告資料集を,PDFファイルにて作成している。【結果】これまでの総参加人数は397人,1回あたりの平均参加人数;39.7人である。延べ参加職種の内訳は,理学療法士243人,作業療法士80人,言語聴覚士12人,看護師22人,教員26人,その他の職種14人であった。企画としては,講演10題,調査・研究の報告4題,症例検討12題,討議企画8題を行った。本会での活動,報告に関連した学術発表は13題あった。作成した報告資料集は,開催地の北海道のみならず全国の地域を対象にメール登録者及び希望者に配信している。横に繋がりが出来にくい性質の訪問業務だが,この事を通じ広範に活動を伝えられた。【結論】当初の理念については,これまでの活動を通して一定の成果を上げられたのではないかと思われる。また,報告資料集のメール配信により遠方の地域とも知り合うことができ,相互に情報交換する機会に繋がった。小児の在宅リハは訪問事業所に所属するリハ職のみでは完了出来ず,広義においては家庭を取り巻く入所・通所施設,かかりつけ病院,教育機関,福祉用具関連等全て在宅関連職と言える。今後も活動を継続し,在宅小児の環境を改善し整えていきたい。

言及状況

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こんな論文どうですか? 草創期の在宅小児理学療法分野における研究会の活動報告(齋藤 大地ほか),2016 https://t.co/xc8UTS91Ep

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