著者
齋藤 大地
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第52回日本生態学会大会 大阪大会
巻号頁・発行日
pp.65, 2005 (Released:2005-03-17)

鳥類の90%以上は社会的一夫一妻で,一見すると雌雄で利害の対立がないように見受けられる.ところが,遺伝子マーカーを用いた親子判定技術の確立により,多くの鳥種で婚外交尾による婚外子の存在が明らかになった.また,行動観察や野外実験からメスは積極的に婚外交尾の誘引をおこない,オスはつがいメスの婚外交尾を防ぐために配偶者防衛行動やその他の行動をとっていることがわかってきている.このような雌雄の対立はペア内の個体の質や状態だけでなく,婚外交尾の相手になりうるペア外のオス,そのオスのつがいメスの質や状態によっても影響されることが考えられる.しかし,一夫一妻種では潜在的にペア内の繁殖に影響を与える個体を把握することは困難であるため,父性の配分がどのような要因で決まっているのかは研究によって結論が大きく異なっている. イワヒバリは,非血縁個体からなる複数のオスと複数のメスがグループで繁殖する多夫多妻性の協同繁殖鳥類である.イワヒバリは配偶がグループ内に限られているため,配偶を争う潜在的な相手を特定することが可能である.今回の発表では,オスとメスの対立の結果である父性の配分が配偶に関係する個体の質や状況によってどのように変るのか,マイクロサテライトによる父性判定の結果を用いて報告する.
著者
齋藤 大地
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.G3O1230, 2010

【目的】これまで、小児における慢性的な疾患に対してのリハビリテーション(以下リハ)を提供する実施主体は、行政や社会福祉法人、医療法人が殆どであった。これらに対する社会資源という呼称が意味するように、サービスの質的、量的な地域格差が恒常的に存在しており、提供されるサービス頻度や時間は、小児及び家族の必要を充分に満たすものではない。また、雇用・就業人口が少ない小児リハであるが、発達に関する全般的な知識の他、小児特有の病理、地域の福祉に関するネットワークや、家族と小児に対する接遇及び治療技能が必要で、一般の病院での受け入れや、他職種による専門性の代替えも難しい。更に小児医療は、前述のような大規模な実施主体から通所形態でサービス提供される事が多いが、昨今重度重複化している小児にとっては、通所すること自体が身体的負担となる。<BR>一方、1994年健康保険法の改正により、それまで高齢者が対象であった訪問看護は、在宅で医療・療養を受ける全ての人を対象とするものへと変わり、小児を対象とした理学療法士や作業療法士の訪問サービスが提供できる様になったが、訪問形態での小児リハのサービスは、当該地域である北海道旭川市には存在せず、空洞化していた。そこで、小児リハの経験を持つコメディカルが訪問形態で医療を提供する事業を起こすことで、上記「地域における小児リハの不足」及び「通所形態での小児リハの限界」の2つの問題点に対する、現実的な解の一つとして適合するのではとの思いがあった。機会を得て2008年5月に株式会社を設立し、看護師、作業療法士計4人を雇用して北海道の訪問看護事業者の指定を受け、事業を開始した。本事業を通じて若干の経験を得たので、報告したい。<BR>【方法】2008年5月の事業開始当初に、小児科、NICUをもつ総合病院や、地域の療育機関等の関係者に、小児専門の在宅医療と事業の方向性を説明し理解を得た。同時に各方面へのパンフレットの配布と、企業広告として地域の情報紙に一度宣伝広告を出している。利用申込みに至る経緯としては、慢性的な疾患を抱える小児の両親から直接の問い合わせを受けることが多く、次いで医師や医療職からの紹介、既利用者からの紹介等があった。事業開始からの利用者数、疾患別の分類、訪問件数の推移を、考察を交えて報告する。<BR>【説明と同意】今回の事業報告に関して、ステーション管理責任者の同意を得た。本研究には利用者等の個人情報を特定できる内容は含まれていない。<BR>【結果】事業開始からの利用者数は、緩徐ではあるが伸びている。3月~4月の年度末での利用休止、介護負担による止むを得ない施設入所による終了者が数名いた。また、小児リハの要望が多かったので、2009年5月に理学療法士を1名新規採用している。小児専門での訪問看護ステーションの経営は、医療保険の収入、スタッフの人件費支出をメインとして、現在の処黒字の収支を維持している。<BR>【考察】利用者数の緩徐だがコンスタントな増大は、地域にとって割合は少ないものの、ニーズとしては絶対的であることを示唆している。年度またぎの休止、終了者が居たのは、進級、進学、就職などのライフステージの変化や、子どもよりも年長である親による介護事情が影響したと考える。<BR>訪問形態による小児リハの提供は、胃瘻造設、人工呼吸器装着等の重症の利用者にとっては、通所に伴う感染リスクを抑えつつ、専門性の高い小児リハサービスを家庭で受けられるメリットがあり、それまで頻繁だった体調悪化や、感染症による入院は減少している。重症者に対する看護職と連携した小児リハは、体力増強や各種疾病に対する予防効果があると思われた。比較的軽症の肢体不自由児・者に対しては、二次障害や外傷、疼痛の軽減や防止により、通学や就業生活を維持することが出来ていた。<BR>【理学療法学研究としての意義】昨今の自立支援法や医療保険の改定、地域では医師不足といった事情により、小児医療全体でも施設入所離れや、外来部門の経営が厳しくなっている。理学療法診療も減算改定が続き、理学療法士の雇用状況も逆風が続いている。<BR>しかし、在宅で展開する小規模なチーム医療として訪問看護及びリハを提供することにより、重症児の入院の入院回避に成功した場合、単月の概算で1/3から1/4程度に医療保険の負担を軽減できる。幼少時と比して多忙な学生や就労者に対しては、都合の良い時間帯に訪問し、メンテナンスケアを継続的に提供することで、学業や社会生活の維持という支援が可能である。<BR>今後はアンケート調査や、評価スコアなども使用して、民間サービスとしての質と、医療の専門性としての質が合致し、地域に根ざした医療サービス業としての認知度を高めていきたい。
著者
小沢 浩 林 時仲 土畠 智幸 齋藤 大地 金田 実
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.29-33, 2017

Ⅰ.はじめに厚生労働省は、地域包括ケアシステムを提唱している。地域包括ケアシステムとは、30分でかけつけられる圏域を日常生活圏域と定義し、地域包括ケア実現のために、医療、介護、予防、住まい、生活支援という5つの視点での取り組みが包括的、継続的に行われることが必須であると説明している。またそのために①医療との連携強化、②介護サービスの充実強化、③予防の推進、④見守り、配食、買い物など、多様な生活支援サービスの確保や権利擁護など、⑤高齢期になっても住み続けることのできるバリアフリーの高齢者住まいの整備、が必要不可欠であると述べている。今後、リハビリテーションについても、訪問リハビリテーションや、学校および通所施設など、病院以外のリハビリテーションがますます重要になってくるだろう。北海道は、広大であるため、障害児が地域に点在していることも多く、その中でさまざまな工夫を凝らして療育を担ってきた。日本は、高齢化社会を迎え、特に地域において、人口の減少、障害児の地域の点在化が進んでいくであろう。そのため、北海道モデルからわれわれが学ぶことは多く、新たなモデルを構築していかなければいけない。そのために、必要なのは、ライフステージを見据えた長期的視点による生活へのアプローチであり、多職種との連携の中でのリハビリテーションの役割を担っていくことであろう。以上の視点より、北海道の先進的な取り組みを紹介する。Ⅱ.北海道療育園における在宅支援北海道療育園 林 時仲遠隔過疎地域を背景にもつ北海道療育園(以下、当園)の在宅支援とその課題、解決策について報告した。当園は北海道旭川市にある医療型障害児入所施設・療養介護事業所で、入所336床、短期入所6床の入所支援のほか、通園事業所、訪問看護ステーションを併設している。主な担任地域は北海道北部、北・中空知および北オホーツクで、東京の8.5倍の面積に人口約65万人、163人の在宅重症児者が居住している。近年、在宅で療養する重症心身障害児者(以下、重症児者)と在宅で医療行為を行わなければならない「医療的ケア児」が増加している。この3年間で在宅重症児者(半数は要医療的ケア)は旭川市内で26人、全道で約200人増加した。遠隔過疎地は社会資源が少なく、在宅重症児者や医療的ケア児とその家族を支える調整役が不足し仕組みが十分に機能していないために彼らは多くの問題を抱えながら生活している。たとえば、短期入所を利用したくても地域に重症児者や医療的ケア児を受入れている事業所がないため、利用者によっては250km離れた北海道療育園まで車で移動しなければならない。緊急時には車が確保できなかったり、冬期間は吹雪で道路が閉鎖されるといった困難を抱える。地域の基幹病院は福祉サービスである短期入所を受託していない。当園ではこれらの問題に対し以下の支援を実施している。1.直接的支援:目に見える形で提供する支援サービスとして、①短期入所、②通所支援、③訪問リハビリテーション、④訪問看護、⑤日常生活補助具や姿勢保持具の製作と提供、⑥相談支援、⑦巡回療育相談、⑧外来療育等指導事業、⑨テレビ電話相談、⑩小児慢性特定疾病相談室の運営等を行っている。短期入所は空床利用型6床で年間400件、延べ2000日を受けているが、利用申請の2割は満床等当園の理由でお断りしている。また、入所支援と在宅支援を同一病棟、同一スタッフで実施することの難しさを実感している。短期入所枠の増床は物理的に困難であり、新規棟の建設が望まれる。小児慢性特定疾病相談室は平成27 年1月より中核市である旭川市から小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の委託を受けて開設した。小児慢性特定疾病児童(重症児や医療的ケア児が重複する)を対象に自立支援員による相談支援やソーシャルワークが行われ、医療と福祉の橋渡しになっている。2.間接的支援:医療機関や福祉サービス事業所が重症児者や医療的ケア児の受け皿となってもらえるよう支援事業に取り組んでいる(資源の再資源化)。①職員研修(実習見学会、交換研修等)、②当園職員を派遣しての研修(出前研修、保育所等訪問支援事業、医療的ケア支援事業、子ども発達支援事業等)、③テレビ電話による遠隔支援等である。市立稚内病院小児科では当園で研修した看護師が中心となり、親の付き添いの要らない重症児の入院が始まった。道北のある就労支援b型事業所は出前研修後に生活介護事業所を併設し地域の重症児者の受け皿になっている。思いはあっても踏み出すことが難しい医療機関や事業所の背中を押して、一緒にやろうという姿勢が重要である。重症児者のための協議会を立ち上げて課題解決や相談支援等に当たっている。この協議会は周辺自治体に働きかけて重症児者のための協議会立ち上げを支援している。将来の仲間作りのために医学生や福祉科学生の実習を受け入れている。地域住民や首長に重症児者に対する理解がなければ在宅支援が進まないことから啓蒙活動にも力を入れている。課題と解決策:①北海道においては、地域の基幹病院など医療機関の医療型短期入所事業への参入が求められる。これには自治体による福祉サービス料と医業収益との差額補償や空床補償、国による報酬単価引き上げ等の対策が必要である。②当園のような重症児者施設における在宅支援が不十分である。当園では、家族の要望があるにもかかわらず、重症児者外来や訪問診療を始められておらず、短期入所や通園事業枠も長年増やすことが出来ていない。重症児者施設のさらなる取り組みが求められる。③厚労省のモデル事業により標準的な療育を学ぶためにテキストが整備されたが、研修を担う人材が不足している。これには協会認定重症心身障害看護師の活躍が期待される。④協議会の運営や研修活動が継続した活動となるためにはこれを国や自治体の事業とし、財政基盤を確保する必要がある。国は、人材育成や市町村・広域のバックアップ、スーパーバイズ機能を持たせた地域の中核となる支援センターを設置して支援体制の構築を進める都道府県等に補助を行っているが(重症心身障害児者支援体制整備モデル事業)、現時点で受諾は大阪府のみであり拡充が必要である。⑤調整役(相談支援専門員、自立支援員)の増員と地位向上、および「つなぎ先(受け皿)」の充足に最優先で取り組む必要がある。(以降はPDFを参照ください)
著者
齋藤 大地 五十嵐 大貴
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】昨今,重篤な症状や高医療依存の小児が増え,これまで施設・病院から外来,入院の形態で提供されることが殆どであった小児のリハビリテーション(以下リハ)は,在宅にも拡がりをみせている。医療及び発達,訪問リハを複合した高い専門性を要求される在宅小児リハは,成人の在宅リハを転用したり,施設・病院で提供している小児リハを家庭に持ち込むだけでは,その役割は十分に果たせない。そこで我々は,以下を理念として小児系在宅理学療法研究会を平成22年7月31日に発足した。・小児が生活し育つ家庭において展開される理学療法及びリハを考え,学び合う場を作る。・小児,在宅医療に関連する職種(在宅・施設のリハ職,教職,福祉職,工房技師等)が顔を合わせて話す機会を作り,機能的なネットワークの構築を行って,在宅で要求される問題解決を共有する。・会員相互の自己研鑽及び支援による小児系在宅セラピストの育成を行う。発足から平成27年3月までの5年間,計10回の活動についての報告を通じて,草創期の稀少な分野をどう作り育てて行くかを考察した。【方法】活動としては,年2回のセミナーを開催して,在宅小児の独自性,特殊性を研究すると共に参加者相互の情報交換を行う。運営は有志の理学療法士が行い,基本的には在宅リハの関連職が参加するが,職種の制限は特に設けない。セミナー開催時にはメール登録した参加希望者に日時,場所,企画等を配信し周知する。セミナー当日は参加者にアンケート調査を行い,企画への感想や意見を求め以降の企画・運営に反映させた。また,終了後は使用した資料及びアンケート結果などを付加した報告資料集を,PDFファイルにて作成している。【結果】これまでの総参加人数は397人,1回あたりの平均参加人数;39.7人である。延べ参加職種の内訳は,理学療法士243人,作業療法士80人,言語聴覚士12人,看護師22人,教員26人,その他の職種14人であった。企画としては,講演10題,調査・研究の報告4題,症例検討12題,討議企画8題を行った。本会での活動,報告に関連した学術発表は13題あった。作成した報告資料集は,開催地の北海道のみならず全国の地域を対象にメール登録者及び希望者に配信している。横に繋がりが出来にくい性質の訪問業務だが,この事を通じ広範に活動を伝えられた。【結論】当初の理念については,これまでの活動を通して一定の成果を上げられたのではないかと思われる。また,報告資料集のメール配信により遠方の地域とも知り合うことができ,相互に情報交換する機会に繋がった。小児の在宅リハは訪問事業所に所属するリハ職のみでは完了出来ず,広義においては家庭を取り巻く入所・通所施設,かかりつけ病院,教育機関,福祉用具関連等全て在宅関連職と言える。今後も活動を継続し,在宅小児の環境を改善し整えていきたい。