著者
服部 裕子 友永 雅己 松沢 哲郎
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

 ダンスや合唱など,音楽のリズムに合わせて大勢が体の動きを同調させる行為は,世界中の多くの文化で見られており,同調行動はヒトの社会的なつながりを強めるために重要な働きをしていることが示唆されている.こうした行為ができるのは,ヒトがリズムに対して自発的に同調する能力があるために可能になるのであるが,本研究では,チンパンジーも音のリズムに対して自発的に行動を同期させることを実験的に検討した.まず,電子キーボードを複数回タッピングさせると餌をもらえることを学習させた.その後,タッピングを行っている間に,一定間隔の音刺激を呈示し,タッピングのリズムが音のリズムに同調するのかを調べた.その結果,チンパンジー3個体中1個体において,刺激間間隔 600msの音に自発的に同調してタッピングを行っていたことがわかった.このことから,外部の等間隔の音に対する自発的な同調傾向は,チンパンジーにも共通してみられることが示された.ヒトにみられるダンスや合唱は,こうした傾向をさらに発展させたコミュニケーション方法だと考えられる.

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