- 著者
-
岡本 洋子
吉田 惠子
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.67, 2015
<b>目 的</b> 我々の健康維持や生活習慣病を予防するうえで、塩味や甘味の低減を考慮した食べ物の摂取が望まれる。本研究では、塩味と甘味の感じ方について、呈味量を軽減したうえで満足感を享受できる方法を明らかにすることを目的として行った。<br><b>方 法</b> 健康な女子学生27~34名を評価者として、「塩味均一試料」と「塩味外側試料」について、0.9%,0.6%,0.3%食塩濃度の塩むすびを調製して官能評価を行った。甘味類では、「甘味内側試料」と「甘味外側試料」を調製した。塩・甘味強度と嗜好性を、2点識別・嗜好試験法によって調べた。さらにカテゴリー尺度による評点法を用いて呈味強度と嗜好度を調べ、対応のあるサンプルのT検定を行って解析した。<br><b>結 果</b> 塩むすびにおいて、同一塩分濃度の場合には、「塩味均一」に比べ「塩味外側」が、有意に塩味が強いことが示された(<i>p</i><0.01)。さらに塩分濃度を2/3あるいは1/3に減じた場合であっても、「塩味均一」に比べ「塩味外側」が、有意に塩味が強いことが示された(<i>p</i><0.05)。塩を均一に混ぜる場合と外側にまぶす場合では、嗜好性については、有意差はみられなかった。同一甘味濃度では、甘味を試料の内側に入れるより、外側に甘味を添加した方が、有意に甘味が強いことが示された(<i>p</i><0.05)。6種の甘味試料のうち、5種の甘味試料について、「内側にのみ甘味」と「外側にのみ甘味」の試料間の嗜好性に有意差はみられなかった。食品に塩味や甘味を局在させた方が、塩味や甘味に対する満足感が大きいことが示唆された。