著者
浜守 杏奈 露久保 美夏 大倉 哲也 香西 みどり
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

【目的】近年,大麦に含まれる&beta;-グルカンによる健康効果が注目されており,大麦は米よりもデンプン分解酵素の活性が高いこと,米と大麦の混炊においてそれぞれの単独炊飯よりも還元糖量が増加すること等を明らかにしてきた。しかし,米と大麦の混炊中に酵素がどのように移動し,どこで糖生成に関与しているかについては明らかになっていない。本研究では&beta;-アミラーゼ欠損品種である日本晴と大麦の混炊を行い,大麦の&beta;-アミラーゼの炊飯中の挙動を調べることで混炊における糖生成のメカニズム解明の一助とすることを目的とした。 <br>【方法】90%搗精米(日本晴),75%搗精丸麦(モッチリボシ)を試料とした。官能評価により混炊割合および加水量を決定した。生試料および炊飯後試料から成分抽出液を調製し,ソモギーネルソン法,フェノール硫酸法およびHPLCにより各種糖量を測定した。酵素活性測定は大麦粗酵素液を可溶性デンプンに反応させ,加水分解活性を測定し,&beta;-アミラーゼ活性はメガザイムのキットを使用した。炊飯途中の米・麦粒および炊飯液から粗酵素液を調製し,&beta;-アミラーゼのポリクローナル抗体を使用し,酵素の有無をイムノブロット法により調べた。免疫染色では混炊および単独炊飯した際の米粒を4%PFAで固定後凍結切片を作成し,蛍光顕微鏡観察により&beta;-アミラーゼの局在を調べた。 <br>【結果】官能評価より米と大麦の混炊においては混炊割合50%,加水比が米重量に対し1.5,麦重量に対し1.8となった。イムノブロット法の結果より混炊の1時間浸漬中にすでに大麦の&beta;-アミラーゼが炊飯液に溶出し,さらに米粒内に浸入すること,40℃まで粒内に留まり,60℃で再び溶出することが明らかになった。免疫染色の結果でも,大麦の&beta;-アミラーゼは1時間浸漬中に米粒の表面付近に存在していることが示唆された。<br>

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