著者
佐竹 紀香 田中 美希 浜守 杏奈 佐藤 幸子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 2021年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.136, 2021 (Released:2021-09-07)

【目的】漬物は、特徴的な香りを持つことから「お新香」「香の物」といわれている。漬物の中で、近年、市販の糠床や一夜漬けの糠漬けが流通するようになったが、その独特の臭いにより嗜好性が大きく分かれる。そこで本研究では、スパイスを添加した糠床に胡瓜を漬け込み、その糠漬けについて、香気成分分析および嗜好評価を実施し、糠漬けの糠臭軽減効果について検証した。また、スパイスの認知度を検証するために「スパイスの使用頻度等の意識調査」をあわせて実施した。【方法】糠床は、生糠に塩、唐辛子、昆布、水を混ぜ合わせ、1か月間キャベツで捨て漬けし、調製した。調製した糠床に各スパイス(八角、ナツメグ、クミン)を混ぜ込み、3種類の糠床を調製した。糠床に12時間漬けた胡瓜をすりおろしたものを香気成分用試料とした。香気捕集はMonolithic Material Sorptive Extrction 法に採用し、undecane(C11H24:東京化成㈱)を内部標準とし、GC/MSおよびGC/O分析を行った。また、官能評価(5段階評価法)を実施し嗜好評価を行った。【結果】香気成分分析の結果、糠漬けは胡瓜由来のグリーン様のHexenalと糠臭の3-methyl-butanolが確認できた。スパイスを添加した糠漬けは、いずれも糠臭の香気成分構成割合が半減し、糠臭は抑制された。また、胡瓜由来の匂いはスパイスによる差が顕著であり、八角の添加によって匂いが強調された。官能評価では、ナツメグが最も糠漬けとして好ましい評価を得た。本研究では、スパイス添加による糠臭のマスキング効果が期待できた。今後、食材によりスパイスの種類および添加量を検討する必要があると思われた。
著者
浜守 杏奈 大倉 哲也 香西 みどり
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2019

<p>【目的】これまで大麦と米の混炊において,それぞれを単独で炊飯するよりも混炊することで糖の生成量が増加すること,炊飯中に大麦と米の酵素が互いの粒内に移動していることを確認した。しかし,両内在性酵素がどのように麦飯の糖生成に関与しているかは明らかになっていない。本研究では米と大麦から調製した粗酵素液を用いて糖生成活性の測定を行い,それぞれの粗酵素液と基質を組み合わせて実際の炊飯を想定した混炊モデル実験を行うことによって混炊における大麦と米の酵素の特性および相互作用を検討した。</p><p>【方法】90%搗精米(日本晴),75%搗精丸麦(モッチリボシ)を試料とした。米および大麦から50mMリン酸バッファーを用いて粗酵素液を調製し,基質を可溶性デンプン,米・大麦から調製したデンプンとし,糖生成活性を測定した。還元糖はソモギーネルソン法,遊離糖はHPLCにより測定した。混炊モデル実験は,基質デンプン総量に占める大麦デンプンの割合が0,10,20,30,40,50,100%となるように調整し,糊化させた米・大麦デンプン混合液に同様の割合で混合した粗酵素液を反応させ,単独の値から算出される混炊の計算値と比較した。</p><p>【結果および考察】還元糖生成活性については大麦が米よりも顕著に高く,その至適温度は大麦の方が低いことが示された。モデル実験において大麦単独ではβ-アミラーゼによるマルトースの生成量が多いが,混炊による遊離糖の増加はグルコースが顕著であり,大麦の割合が高いほどその傾向は強かった。大麦の酵素が米粒内でも作用することでマルトースが生成され,米のα-グルコシダーゼが作用しやすくなり,混炊でのグルコースの増加に影響したことが推察された。</p>
著者
浜守 杏奈 露久保 美夏 大倉 哲也 香西 みどり
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

【目的】近年,大麦に含まれる&beta;-グルカンによる健康効果が注目されており,大麦は米よりもデンプン分解酵素の活性が高いこと,米と大麦の混炊においてそれぞれの単独炊飯よりも還元糖量が増加すること等を明らかにしてきた。しかし,米と大麦の混炊中に酵素がどのように移動し,どこで糖生成に関与しているかについては明らかになっていない。本研究では&beta;-アミラーゼ欠損品種である日本晴と大麦の混炊を行い,大麦の&beta;-アミラーゼの炊飯中の挙動を調べることで混炊における糖生成のメカニズム解明の一助とすることを目的とした。 <br>【方法】90%搗精米(日本晴),75%搗精丸麦(モッチリボシ)を試料とした。官能評価により混炊割合および加水量を決定した。生試料および炊飯後試料から成分抽出液を調製し,ソモギーネルソン法,フェノール硫酸法およびHPLCにより各種糖量を測定した。酵素活性測定は大麦粗酵素液を可溶性デンプンに反応させ,加水分解活性を測定し,&beta;-アミラーゼ活性はメガザイムのキットを使用した。炊飯途中の米・麦粒および炊飯液から粗酵素液を調製し,&beta;-アミラーゼのポリクローナル抗体を使用し,酵素の有無をイムノブロット法により調べた。免疫染色では混炊および単独炊飯した際の米粒を4%PFAで固定後凍結切片を作成し,蛍光顕微鏡観察により&beta;-アミラーゼの局在を調べた。 <br>【結果】官能評価より米と大麦の混炊においては混炊割合50%,加水比が米重量に対し1.5,麦重量に対し1.8となった。イムノブロット法の結果より混炊の1時間浸漬中にすでに大麦の&beta;-アミラーゼが炊飯液に溶出し,さらに米粒内に浸入すること,40℃まで粒内に留まり,60℃で再び溶出することが明らかになった。免疫染色の結果でも,大麦の&beta;-アミラーゼは1時間浸漬中に米粒の表面付近に存在していることが示唆された。<br>
著者
佐竹 紀香 田中 美希 浜守 杏奈 佐藤 幸子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2021

<p>【目的】漬物は、特徴的な香りを持つことから「お新香」「香の物」といわれている。漬物の中で、近年、市販の糠床や一夜漬けの糠漬けが流通するようになったが、その独特の臭いにより嗜好性が大きく分かれる。そこで本研究では、スパイスを添加した糠床に胡瓜を漬け込み、その糠漬けについて、香気成分分析および嗜好評価を実施し、糠漬けの糠臭軽減効果について検証した。また、スパイスの認知度を検証するために「スパイスの使用頻度等の意識調査」をあわせて実施した。</p><p>【方法】糠床は、生糠に塩、唐辛子、昆布、水を混ぜ合わせ、1か月間キャベツで捨て漬けし、調製した。調製した糠床に各スパイス(八角、ナツメグ、クミン)を混ぜ込み、3種類の糠床を調製した。糠床に12時間漬けた胡瓜をすりおろしたものを香気成分用試料とした。香気捕集はMonolithic Material Sorptive Extrction 法に採用し、undecane(C11H24:東京化成㈱)を内部標準とし、GC/MSおよびGC/O分析を行った。また、官能評価(5段階評価法)を実施し嗜好評価を行った。</p><p>【結果】香気成分分析の結果、糠漬けは胡瓜由来のグリーン様のHexenalと糠臭の3-methyl-butanolが確認できた。スパイスを添加した糠漬けは、いずれも糠臭の香気成分構成割合が半減し、糠臭は抑制された。また、胡瓜由来の匂いはスパイスによる差が顕著であり、八角の添加によって匂いが強調された。官能評価では、ナツメグが最も糠漬けとして好ましい評価を得た。本研究では、スパイス添加による糠臭のマスキング効果が期待できた。今後、食材によりスパイスの種類および添加量を検討する必要があると思われた。</p>
著者
舘野 美鈴 浜守 杏奈 大久保 洋子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.29, 2010

【目的】弁当は携帯食として発展し、主として昼食としての利用が多い傾向にある。明治以降の婦人雑誌、料理雑誌には記事として取り上げられることが多くなり、なかでも子どもの弁当記事は掲載がシリーズ化されることが多く、母親が献立を考える上での参考にしているだろうことが伺える。その内容は年代により様々な特徴を持ち、変化が見られるので大正期から昭和末までの子どもの弁当記事を通して、その変遷を見ることを目的とした。<BR>【方法】資料として2冊の婦人雑誌『主婦の友』(大正12年5月-昭和63年4月)『婦人之友』(大正2年6月-昭和46年9月)、2冊の料理雑誌『料理の友』(大正5年5月-昭和35年6月)『栄養と料理』(昭和10年-昭和63年)を用いた。年代を6区分にし、タイトル、献立、食材料、調理法、特記される記事を項目として子どもの弁当記事の調査・分析をおこなった。<BR>【結果】1)大正期は需要が少ないためか子どもの弁当記事が少なく、幼児を対象としたものは見られなかった。2)昭和元~13年には「子ども」とタイトルのつく弁当記事が増え、わずかに幼児専門の企画も見られた。大正期ではほとんど見られなかった西洋野菜や食肉加工品などが用いられるようになった。3)昭和14~28年では戦時中ということで子どもの弁当記事にも節米などの工夫が多く見られた。4)昭和29~38年ではパン食や洋風化がすすみ、たんぱく源が推奨され、子どもの弁当記事が増えた。5)昭和39~63年では40年代を境に主食が減少し、見た目と嗜好に重点を置く内容へと変化していく傾向が見られた。
著者
佐藤 幸子 渡邉 菜月 浜守 杏奈 松岡 康浩
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子大学生活科学部紀要 = Bulletin of Jissen Women's University Faculty of Human Life Sciences (ISSN:24336645)
巻号頁・発行日
no.56, pp.9-22, 2019-03-09

The principle of cosmic dualism (yin and yang) and the Five Elements (Wu-Xing), based on the philosophy of "food as medicine," serve as the basis of Korean food culture. Korean cuisine features rice, soup, and kimchi along with various side dishes. As soup is treated as one of its main dishes, Korean daily meals generally contain more water than Japanese cuisine. Earlier, traditional tea culture in Korea was enjoyed only by people of specific privileged classes, and consequently, the tea-drinking custom faded during the Joseon dynasty. Currently, "traditional tea, " made from ingredients including wild herbs, fruits, and grains used in Chinese medicine , is widely accepted in the everyday lives of Korean people. This traditional tea is made by blending and brewing ingredients such as fruits, flowers, grains, and leaves used in traditional medicine, and is based on the philosophy of "food as medicine." It is then mixed with, for example, honey to make it drinkable. Thus, many varieties of traditional tea are available. The results of a survey revealed that the reasons for drinking traditional tea vary from those related to health, such as cold prevention, fever suppression, and recovery from fatigue, to taking "coffee breaks." From this, it was inferred that traditional tea in Korea is used in everyday lives by people with hopes to advance their health based on the claimed functions of its ingredients.