著者
森 恵見 佐藤 真実 岸松 静代 谷 洋子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】福井県は、本州の中央部にあり、嶺北と嶺南地区に分けることができる。嶺北は、平野を中心に米づくりが盛んであり、嶺南は、海に面して滋賀、京都に隣接する。平成28年家計調査年報では、福井県での「菓子類」の年間支出金額は全国ランキングが30位とやや低い。今回は、福井県のおやつについて家計調査年報を参考にしながら、「水ようかん」、「かきもち」、「羽二重もち」について紹介する。<br />【方法】平成28年家計調査年報を用いて、菓子類の年間支出金額と消費傾向について明らかにする。また、「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」聞き書き調査において、聞き書きしたおやつについて紹介する。また、「水ようかん」、「かきもち」、「羽二重もち」について詳細に紹介する。<br />【結果】平成28年家計調査年報では、福井県の「菓子類」の年間支出金額は全国30位(82,954円)とやや低い。その中で「ようかん」が全国5位(1,270円)、「他の和生菓子」が6位(11,886円)と全国的に支出額が高い。一方、「まんじゅう」は47位(677円)で最下位である。福井県のようかんの特徴としては、夏ではなく、冬に食べるのが定番である。あん、砂糖が貴重だった昔、丁稚が冬の味覚として水を多めにいれて作ったようかんが今に伝わったという説もある。県内では、黒砂糖やコーヒーなどを入れた水ようかんが店に並ぶ。「羽二重もち」は明治38年、羽二重織物のような薄くてしなやかな手触りをイメージさせた菓子として登場した。「水ようかん」も「羽二重もち」ももっぱら購入するものであるが、県民が大好きなおやつである。聞き書き調査の中では「かきもち」が各地域で食べられているおやつとしてあがった。寒の頃にもちをつき、乾燥させて一年分のおやつにする。

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