- 著者
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八木 千鶴
阪上 愛子
澤田 参子
原 知子
東根 裕子
山本 悦子
- 出版者
- 日本調理科学会
- 雑誌
- 日本調理科学会大会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.29, 2017
【目的】平成24年からの日本調理科学会「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」研究から山海に恵まれ商都として栄えた大阪府の1960年から70年頃までに定着した家庭料理・郷土料理のおやつの特徴を抽出することを目的とした。<br />【方法】大阪府の行政区分、日本の食生活全集「聞き書大阪の食事」の分類を参考に8地域(泉南・泉北・南河内・中河内・北河内・大阪市・三島・豊能)に分け、その土地に30年以上暮らしている27名を対象に聞き書きを行った。調査時期は2013年11月から2015年9月、方法等は学会ガイドラインに則ったものである。<br />【結果】春:彼岸にぼたもち、上巳に菱餅、端午に柏餅や笹(葦・豊能)で包む粽、また餡入りよもぎ餅(ゆぐみ餅・中河内)や桜餅も作った。夏:糯米に「つぶし小麦」を加えた半夏生餅にきな粉をまぶし食べた。ところてんに黒蜜や白蜜をかけたもの、わらびもち、アイスキャンディー、しがらき、はったい粉などを家庭で作ったが購入した事もあった。秋:十五夜に手作りの月見団子とすすきを供えたが、餡で巻いた団子を購入する事もあった。秋祭りに大豆や枝豆の餡でくるむ「くるみ餅」、彼岸におはぎを作った。冬:餅入りのぜんざい、節分に大豆を煎り豆にし食べた。丁稚羊羹は山間の豊能の楽しみであった。寒の頃に餅を搗き、青のり、干しえび、漬け紫蘇・大豆(三島)や黒豆(豊能)などを入れかきもち、あられ(きりこ・中河内)やおかきにした。縁日では屋台のソース味のたこ焼き・いか焼きを買うのも楽しみであった。大阪は餅や地域の食材を利用しおやつを手作りしたが、季節の饅頭・団子を購入することも多くあった。心斎橋や難波では洋菓子店が出現し、ドーナツなど既製品を購入し始めた。