- 著者
-
酒井 達哉
- 出版者
- 全国大学国語教育学会
- 雑誌
- 国語科教育
- 巻号頁・発行日
- vol.81, pp.41-49, 2017
<p>本研究の目的は大正末期に古市尋常高等小学校において展開された、俳句指導の特徴とその実践的意義を、それを支えた地域的基盤に留意しつつ明らかにすることである。</p><p>大正末期、俳句に対して強い関心があった地域を背景に、同校では自ら俳句を詠む教員の指導により児童が大いに俳句を詠んだ。また、俳句による表現の指導が行われ、兼題や賞の設定などを取り入れることによって作句の動機付けが図られた。俳句は定型詩という制約をもつものであるが、同校では、あえて定型詩の形をとるなかで子どもらしい、ものの見方や考え方を表現することが指導された。国語教育史研究において大正時代の小学校における俳句指導は、これまでほとんど注目されていないが、本研究で取り上げた事例から明らかなように、地域によっては俳句指導が小学校で盛んに行われたことは注目に値する。</p>