著者
酒井 達哉
出版者
全国大学国語教育学会
雑誌
国語科教育
巻号頁・発行日
vol.81, pp.41-49, 2017

<p>本研究の目的は大正末期に古市尋常高等小学校において展開された、俳句指導の特徴とその実践的意義を、それを支えた地域的基盤に留意しつつ明らかにすることである。</p><p>大正末期、俳句に対して強い関心があった地域を背景に、同校では自ら俳句を詠む教員の指導により児童が大いに俳句を詠んだ。また、俳句による表現の指導が行われ、兼題や賞の設定などを取り入れることによって作句の動機付けが図られた。俳句は定型詩という制約をもつものであるが、同校では、あえて定型詩の形をとるなかで子どもらしい、ものの見方や考え方を表現することが指導された。国語教育史研究において大正時代の小学校における俳句指導は、これまでほとんど注目されていないが、本研究で取り上げた事例から明らかなように、地域によっては俳句指導が小学校で盛んに行われたことは注目に値する。</p>
著者
酒井 達哉 佐々木 顕彦 西本 望 伊藤 博章 Tatsuya SAKAI Akihiko SASAKI Nozomu NISHIMOTO Hiroaki ITO
雑誌
学校教育センター紀要 = Bulletin of School Education Center (ISSN:24353396)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.109-121, 2021-03-31

本研究では,女子大学を卒業した新卒3 年目までの正規採用の小学校教員を対象に,若手教員の意識や研修課題及び卒業生支援に対する要望を調べ,それらに対する方策について検討を行った。調査の結果,卒業生の若手教員の多くが教職にやりがいを感じながらも,採用前の予想を上回る学校現場の厳しい困難な現実に直面し,それぞれに研修課題を抱いている実状が明らかになった。例えば,研修課題においては,日々,適切な指導が求められる「教科等の指導」,「生徒指導」や新しい教育課題である「特別の教科 道徳」などのニーズが高いことなどが明らかになった。こうした結果を踏まえ,本研究報告は,在学中の早い段階から教職の魅力を伝えたり,実践的指導力の向上を意識した授業内容を設定したりすることなどの教職課程の改善や,卒業後もニーズに応じた研修を提供するなどの卒業生支援の拡充についての方策を提言している。