著者
太田 慧 杉本 興運 上原 明 池田 真利子 飯塚 遼 磯野 巧 小池 拓矢
出版者
地理空間学会
雑誌
地理空間 (ISSN:18829872)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.165-179, 2018

近年,日本におけるクルーズ需要は高まっており,都市におけるナイトクルーズも都市観光におけるナイトライフの充実を図るうえで重要な観光アトラクションとなっている。本研究は,東京におけるナイトクルーズの一つとして東京湾納涼船をとりあげ,東京湾納涼船の歴史と運航システムを整理し,東京湾納涼船の集客戦略と若者の利用特性を明らかにした。1990年代以降の東京湾納涼船の乗船客数の減少に対して,2000年以降に若者をターゲットとした集客戦略の転換が図られ,ゆかたを着た乗船客への割引や若者向けの船内コンテンツが導入された。その結果,2014年以降の年間乗船客数は14万人を超えるまでに増加した。乗船客へのアンケート調査の結果,東京湾納涼船は大学生を中心とした若者にとって金銭的にも心理的にも乗船する際の障壁が低いことが明らかになった。つまり,安価で手軽に利用できる東京湾納涼船は学生を含む若者にナイトクルーズ利用の機会を増やしている。

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