著者
手島 美聡 大石 和代 永橋 美幸 中尾 優子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.71-77, 2017

<p><b>目 的</b></p><p>近年,乳房ケアに超音波画像診断が取り入れられてきている。本研究では産後の乳房状態をより正確に評価していくために,超音波画像を用い,直接授乳前後の乳腺組織の厚さの変化について明らかにした。さらに,その厚さの変化と授乳量との関連性について検討した。</p><p><b>方 法</b></p><p>2013年1月~9月,A大学病院産科で出産し,母児同室で直接授乳をしている褥婦51名。撮影時期は産褥4~7日。撮影は1回の直接授乳前後に実施し,超音波画像にて乳腺の厚さを計測した。また,その時の児の授乳量を測定した。</p><p><b>結 果</b></p><p>分析対象者は初産婦15名,経産婦33名の計48名,乳房数91であった。乳腺組織の厚さは,授乳前が平均値33.6±8.86mm,授乳後が平均値32.0±8.47mmであり,授乳前後で有意に減少した(p<0.01)。乳腺組織の厚さの差と授乳量で,弱い相関があった(r=0.27,p<0.01)。さらに初産婦では有意な相関を示したが(r=0.40),経産婦では相関がなかった(r=0.17)。</p><p><b>結 論</b></p><p>今回の超音波画像を用いた産褥早期における乳腺組織の調査において,直接授乳前後の乳腺組織の厚さの変化は,授乳前に比べ授乳後は乳腺組織の厚さが有意に減少した。また,授乳前後の乳腺組織の厚さの差と授乳量の関連については,初産婦では有意な相関があり,経産婦は相関がなかった。産褥早期に,超音波による乳腺の厚さを測定する時には,授乳の前後で厚さが変化することを知る必要がある。</p>

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