著者
花田 裕子 永江 誠治 山崎 真紀子 大石 和代
出版者
長崎大学
雑誌
保健学研究 (ISSN:18814441)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.1-6, 2007

本稿は,児童虐待の歴史的な変遷および児童虐待の定義について概観する.児童虐待は,わが国においても1990年代以降は特殊な家族環境で発生する問題ではないことが広く認識されるようになった.児童虐待問題は,歴史的な変遷を経て関連法が大きな変革期を迎えている.児童虐待は諸外国ではChild AbuseとChild Maltreatmentの両者の用語が用いられているが,Child Maltreatmentは80年代に生態学的な観点から児童虐待を捉えることが提唱された用語でChild Abuseより広く使われている.子どもの心理社会的な発達は,親だけではなく子どもの取り巻く環境からの影響は大きく,今後はChild Maltreatmentの概念の導入や生態学的な研究が児童虐待問題に必要となってくると考えられる.
著者
手島 美聡 大石 和代 永橋 美幸 中尾 優子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.71-77, 2017

<p><b>目 的</b></p><p>近年,乳房ケアに超音波画像診断が取り入れられてきている。本研究では産後の乳房状態をより正確に評価していくために,超音波画像を用い,直接授乳前後の乳腺組織の厚さの変化について明らかにした。さらに,その厚さの変化と授乳量との関連性について検討した。</p><p><b>方 法</b></p><p>2013年1月~9月,A大学病院産科で出産し,母児同室で直接授乳をしている褥婦51名。撮影時期は産褥4~7日。撮影は1回の直接授乳前後に実施し,超音波画像にて乳腺の厚さを計測した。また,その時の児の授乳量を測定した。</p><p><b>結 果</b></p><p>分析対象者は初産婦15名,経産婦33名の計48名,乳房数91であった。乳腺組織の厚さは,授乳前が平均値33.6±8.86mm,授乳後が平均値32.0±8.47mmであり,授乳前後で有意に減少した(p<0.01)。乳腺組織の厚さの差と授乳量で,弱い相関があった(r=0.27,p<0.01)。さらに初産婦では有意な相関を示したが(r=0.40),経産婦では相関がなかった(r=0.17)。</p><p><b>結 論</b></p><p>今回の超音波画像を用いた産褥早期における乳腺組織の調査において,直接授乳前後の乳腺組織の厚さの変化は,授乳前に比べ授乳後は乳腺組織の厚さが有意に減少した。また,授乳前後の乳腺組織の厚さの差と授乳量の関連については,初産婦では有意な相関があり,経産婦は相関がなかった。産褥早期に,超音波による乳腺の厚さを測定する時には,授乳の前後で厚さが変化することを知る必要がある。</p>
著者
大石 和代 宮市 和子 加藤 奈智子 古田 真司
雑誌
長崎大学医療技術短期大学部紀要 (ISSN:09160841)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-8, 1993-03-31

長崎県内に住む20代から40代を中心とした健康婦人1,113人を対象に,「冷え性」の自覚や,自律神経系の症状を中心とした不定愁訴および月経周期にともなう不定愁訴等について自記式アンケート(無記名)を行った.対象を離島地区,長崎市内,長崎以外の市,郡部の4地区に区分し,居住地域別に結果を比較したところ,離島地区では,胃腸系愁訴を中心とした自律神経的な愁訴が多く,長崎市内では,全身性愁訴を中心とした自律神経的な愁訴と月経中の不調が多いという特徴がみられた.We investigated recognition of "feeling of cold" and unidentified clinical problems due mainly to autonomic symptoms as well as those accompanying the menstrual cycle in 1200 women mostly in their 20s, 30s, and 40s, using a self-entering questionnaire (unsigned). The results were compared by each region, narnely, remote islands, Nagasaki city, cities other than Nagasaki, and rural districts, and the following results were obtained. In remote islands, complaints about autonomic symptoms prevailed, while in Nagasaki city both complaints about autonomic symptoms and problems during menstrual period were high. Specifically, the autonomic symptoms were gastro-intestinal symptoms in the remote islands but whole body symptoms in Nagasaki city, indicating a difference between the two regions.