著者
青山 怜史 須藤 翼 柿崎 洸佑 三上 修
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.11-18, 2017
被引用文献数
2

ハシボソガラス<i>Corvus corone</i>がクルミ(オニグルミ<i>Juglans mandshurica</i>の種子)を高い位置から投下して割って食べていることはよく知られている.ハシボソガラスが効率よくクルミを割るためには,どのくらいの重さのクルミをどれくらいの高さから何回落とすかが重要となる.そこで本研究では,ハシボソガラスのクルミ割り行動の基礎情報としてクルミの性質について理解することを目的とし,以下の3つを明らかにする実験を行った.(1)クルミはどの程度の高さから何回落とすことで割れるのか.(2)クルミの重さによって割れやすさに違いはあるのか.(3)クルミの外見の大きさ(殻の直径)およびクルミ(殻+子葉)の重さと,内部の子葉の重さに関係はあるのか.さらに簡易的に(4)ハシボソガラスは,重いクルミを選択するのかについても実験を行った.その結果,(1)落とす高さが高いほどクルミは割れやすい,(2)重さによって割れる確率に違いは見られないが,重いクルミは殻が欠けて割れ,軽いクルミは縫合線で割れる傾向がある,(3)重いあるいは大きなクルミほど可食部も重い,(4)ハシボソガラスは重いあるいは大きなクルミを選択的に持っていく,ことが明らかになった.

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