- 著者
-
木田 秀幸
近藤 敬三
飯田 健一
- 出版者
- 一般社団法人 日本農村医学会
- 雑誌
- 日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, pp.121, 2005
【はじめに】<BR>院内感染対策において臨床検査室は様々な役割を担っている。その中でも感染情報の提供は、治療薬剤選択や院内感染への迅速な対応に不可欠でありリアルタイムな情報が必要とされる。しかし日常業務の中で全ての医師にリアルタイムな情報提供を行なうことは困難であるのが現状である。そこで新しい感染情報提供の方法として株式会社富士通北海道システムズの協力の下、細菌Webの構築を行なったので報告する。<BR>【システム構成】<BR>当院オーダシステム及び検査システム更新(2004年3月1日)に伴い、Webサーバとして検査システムサーバを利用し、クライアントとしてLAN接続されている全てのオーダリング用及び検査システム用PCを使用した。<BR>ソフトウエアは、WebサーバInternet Information Server、情報データベースOracle、WebデータベースMicrosoft Access2002を用いた。クライアントの動作環境はInternet Explorer5.0以上、Adobe Acrobat Reader5.0以上とした。また、書類のスキャニングを行なうために当初設置予定であったレーザープリンタ1台をスキャナー付プリンタへ変更した。<BR>セキュリティ対策としては、ログイン情報、患者情報の暗号化や医師以外の閲覧者をある程度制限することとし、パスワード、ログイン名については検査室で管理することとした。<BR>【方法】<BR>月に1度開催される院内感染対策委員会の資料については、スキャニング後PDFファイルとしてアップロードを行ない、夜間の検査システム日時更新処理中に細菌Webへ反映される。<BR>前日-当日間で最終報告された細菌検査結果を毎日午前7時に情報データベースより自動収集しWebデータベースの自動更新を行なう。臨床サイドは各病棟、診察室に設置してあるクライアントから細菌Webへアクセスし必要な情報を検索する。<BR>【結果】<BR>Web導入以前の感染情報は、医師からの問い合わせや検査技師からの連絡、月1度開催される感染対策委員会報告などに限られていたが、細菌検査室よりリアルタイムな情報をWeb上に公開することにより、必要な感染情報を比較的容易に得ることができ、また無線LANを装備したノート型PCも各病棟等に設置されているため病棟内を移動しながらの検索も可能となった。<BR>「感染委員会提出文書一覧」では委員会に提出された文書を月別に、「その他の文書一覧」ではWeb操作手順書などが添付されている。「リアルタイム集計表示」では様々な検索条件での絞込み機能を持つことにより必要なデータを容易に引き出すことが可能となった。また、システム更新の数か月後に検体検査の最終報告書出力の廃止を行なったが細菌検査の報告書出力も同時に廃止することができ、技師・看護師・事務員等の作業軽減につながった。<BR>【まとめ】<BR>当院の細菌Webは、検査システムとLAN回線を利用することにより、新たなソフトウエアやハードウエアを購入することなく構築することができた。また、クライアントにオーダリング用PCを用いているためWeb参照後のオーダが容易であり対象患者の病室は、オーダシステムにある病棟マップにより確認が可能である。<BR>臨床へ提供する情報としては満足できるものが構築できたと思うが、今後は利用状況などを調査し、より利用されるよう啓蒙していかなければならないと考える。<BR>(尚、本研究は北海道農村医学研究会の助成物件によるものである)