著者
宮野 美幸 熊原 比路美 風間 裕子 岡澤 敬彦 金城 浩和 赤塩 恵子 清水 敏夫 外間 政信 木村 薫
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.33, 2011

当院ではかつてノロウイルスによる院内集団感染が発生した。平成23年春に、再び院内集団感染が発生してしまったが、その経過と対策を集計し、次の流行期に向けて方針を検討したので報告する。<BR><B>経過</B>:H23.3/16にS2病棟で下痢・嘔吐の患者が6人、職員3人が発生、感染元は1日で退院した患者を推定。3/23にH3で発症患者発生、S2スタッフの伝播を疑う。3/26にH4で同様の発症患者発生、H3からの転棟患者から感染を疑う。4/14にS3で集団発生。持込患者の汚物処理が不適切であり広がった可能性。これら4病棟の集団感染は最終的に患者32人、職員26人となった。<BR><B>対策</B>:病棟からの連絡で直ちに感染対策小委員会を開催し、感染制御対策を検討・実施した。具体的には、発症者のゾーンニング、隔離病室の環境整備、次亜塩素酸Naによる病棟の全面消毒、面会制限、入院制限、転棟制限などであり、病棟の全面消毒は、新たな感染者が発生しなくなるまで継続した。<BR><B>考察</B>:今季は地域の保育施設や学校で流行があり、近隣の複数の介護施設で集団感染がおき、幾人かは当院に救急搬送、入院となるケースが続いた。期間中に8人が入院しているが、入院してくる患者の隔離、入院制限、転棟制限のなかで、病室確保に苦慮した。また、本来はある程度の病棟が決められた診療科でも他の病棟に入院が振り分けられ、スタッフから病原体の伝播が起きるなど、更に感染拡大につながってしまった。いかに感染者を特定するかは重要で、今回の感染拡大では疑いの段階からゾーニングをするタイミングが遅れていた。期間中の吐物・便の処理は、常に感染性胃腸炎を念頭に処理する必要があった。多くの職員が感染したことから、個人防護具の適切な使用とともに、手指衛生の重要性を再認識した。<BR><B>方針</B>:流行前に研修会を開催する。下痢・嘔吐の患者は常にゾーニングで対応する。スタッフの手洗いと個人防護具の適切な使用を徹底する。期間中は環境消毒を徹底する。

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こんな論文どうですか? 当院で経験した感染性胃腸炎の院内集団感染(宮野 美幸ほか),2011 https://t.co/m7ECbBZVXv 当院ではかつてノロウイルスによる院内集団感染が発生した。平成23年春に、再び院内集団感染が発生してしまった…

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