著者
高橋 大輔 戸田 敏行
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.99, 2009

県境地域づくりは自治体施策が都道府県境界で分断されることから、多様な分野の調整が必要となっている。その調整には県境地域を対象とした地域計画の立案が有効と考えられる。本研究は、三遠南信地域の事例から県境地域計画の策定プロセスと評価を明らかにすることで、県境地域計画の立案について知見を得ることを目的とする。1.三遠南信地域では「三遠南信地域連携ビジョン」が策定された。計画策定の枠組みとプロセスの分析から、多様な分野の調整が必要となる県境地域づくりは、県境を越えて多様な主体が参加できる場の形成と県境地域計画を持つことが重要である。2.計画内容の評価分析では、個別事業の差が認められるものの計画への期待度と満足度は高い傾向にある。県境地域計画は、地域の総体として地域計画の全般が描かれること、国土形成計画など広域計画への対応も含む地域計画となることが重要である。3.計画推進組織「三遠南信地域連携ビジョン推進会議」の設置が定められた。同組織が持つ機能への評価も一定になされていることが確認され、事務局の固定化により計画の推進、進捗管理のほか、地域差が認められる事業の調整が期待される。

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